分科会A<私たちの街は外国人にも魅力があるのか?>
担当パネリスト 高崎邦子
○高崎
世界観光機関(WTO)の1996年の推計値によりますと、世界の観光客総数は約5億9,364万人、旅行収入は4,227万ドルとなっており、世界総人口約55億人の10.8%の人々が、海外観光をしています。では、日本に来られる外国人のお客様は、どうかといいますと、1997年に422万人を超えましたが、1998年は411万人に留まっています。
外国人旅行者受入数というのを見てみますと、1位はフランス6,240万人、アメリカ4,648万人、スペイン4,054万人と続き、我が日本は96年は383万人で、世界の32位の地位にあります。現在もその順位はさほど変わっていません。
この数字をご覧になられ、日本は何と海外からのお客様が少ないのだろうと思っておられる方もいらっしゃると思います。各国の人口に占める外国人旅行者受入数で比較しますと、フランス111.1%、アメリカ18.6%、スペイン104.4%です。では日本はどうかといいますと、2.9%という低い水準にありまして、これが我が国が観光後進国とか、観光鎖国だといわれる所以でもあります。
98年の訪日外国人旅行者数は、円安基調という追い風を受けながらも、全体の3分の2を占めるアジアからのお客様の経済危機の影響で低迷しました。しかし、大幅に減少したといってもアジアからの旅行者数が訪日外国人旅行者総数に占める割合は、全体の54.5%です。半分以上がアジアの方であるということから、日本が訪日外客を受け入れるという事を考える時に、アジアからの旅行者は絶対見過ごせない方々なんだということがわかって頂けると思います。
さて、「石川・金沢の集客力」ということを今から考えるわけですけれども、まず「お客様」というのは一体どういう人たちなのでしょうか?「来てくれた人」が「お客様」だということでは答になっていません。どういうお客様が来てくれる可能性が強いのか、あるいはどういう人はお客様としてあまり期待できないのか、こういうことについて考えることが重要です。いわばターゲットの問題です。今まで日本の観光地ではあまりターゲットという考え方は明確でなかったのではないか、観光地全体として明確な戦略を持っているという事が少なかったのではないかと思います。
例えば、北海道の池田町であるとか、大分県の湯布院、これは外国人も含めた若い人々を中心に大きな集客力を備えています。この二つの町は、それぞれにワインや映画・芸術好きの人々をターゲットにしています。そして忘れてならないのは、池田町で40年以上、湯布院で30年以上、それだけかけてやっと今の状況があるということです。観光の場合はやはり長期的な戦略というものがどうしても必要になってくるのではないかと思います。
では、石川・金沢としてはどのような人々をターゲットとすべきでしょうか。現状は、日帰りのお客様が6割、宿泊される方が4割という構成比になっています。そして県内客の方が3割、県外客が7割という数字になっています。より固有性を打ち出しターゲットにアプローチするならば、現状のレベルでは留まらない観光地であると思います。そのため国内で重点的に取り組むべきターゲットと思われるのは、中高年、熟年層の方々です。もう少ししますと団塊の世代の方々が60歳を迎えられて定年になられます。