日本財団 図書館


パネルディスカッション

 

コーディネーター

水野一郎(金沢工業大学建築学科 教授)

パネリスト

高崎邦子(JTB関西営業本部 広報課長)

安島博幸(立教大学観光学部 教授)

澤功(ジャパニーズ・イン・グループ前会長,澤の屋旅館 主人)

 

○水野

観光にとっては今は大変厳しい時代です。日本の高度成長期に観光地に来ていた団体旅行、慰安旅行という形態が少しずつ変わりつつあります。本来的な個人旅行、家族旅行、グループ旅行、あるいは趣味の旅行、そういった方向に移動しつつあります。そこには個性化、あるいは多様化、そのようなものが確実に進んできておりまして、それに対してどう対応しようかという議論があちこちで起こっているのではないかと思っております。

もう一つ、新しい流れとして、共同戦線化というようなことが進んでいるかと思います。石川県で言いますと、片山津温泉も山代温泉も山中温泉も一緒になって何か力を得ていこうとする動き、あるいは最近では北陸3県で共同化して何かできないかというような動き、そしてまたつい先日は北陸と東北が結びついて、少し広域的な共同戦線で新しい要素を探し出そうとしております。その新しい要素の中、注目され始めているのが国際観光化ということではないかと思っております。外国人の客を受け入れるということです。

石川県でも幾つかの温泉旅館や金沢のコンベンションビューローのようなところを初め、国際化に対して積極的に取り組む試みが始まっております。ですが、石川県全体でどんなふうに国際的な実態があるのか、あるいはどんなことをやったらいいのかという議論はかなり少ないのではないか、データも少ないというのが現状ではないかと思っております。

そういったことを今日をきっかけにもう一度洗いざらい見直してみて、何かの方向を見つけたいと思っております。

○高崎

JTBでは毎年、「行ってみたい旅行先」ということで調査を行っていますが、石川県というのは常に「行ってみたい旅行先」のベスト20に入っています。

では実際に観光のお客様がどのぐらいお越しになっておられるのかという数字ですが、平成10年観光入込客数は約2,120万人ということで、全国47都道府県のうち35位前後に留まっています。人気の割には集客力に劣るという印象は否めないかなと思います。

訪日外国人のお客様という点でも同様の傾向が見られまして、石川県を訪れた外国人というのは平成6年度に急落をしており、以降も横ばい状況で9年度は31位になっています。

石川県は外国人にすごく好まれる旅行地ではないかと思うのですが、外国のお客様があまり多くないというのはどうしてかと考えますと、逆に豊富に観光資源があるというあたりが石川県の弱みになってしまったのではないかと感じます。外国人のお客様の誘致に向けた国際観光キャンペーンや、受け入れ体制づくりというものをきっちりとやってらっしゃるのかなというように思われます。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION