第一は、特に欧米人が-私を含めて-日本を旅行する時は“The real Japan(本当の日本)”を探していると思います。日本についての世界中の評判はどちらかというと経済的な評判です。もちろん美術のことを多少知っているし、興味がある人は美術館とか特別な展示会とかに行くと思いますが、一般的な評判は経済的な評判です。日本企業の経営は有名ですが、わざわざ日本に来たら、そういうことではなくて、もっと伝統的、昔からの街並み、昔からの日本の美、昔からの人間関係について興味があると思います。だから“The real Japan”です。金沢、石川県を見ると、十分そういうところはあると思いますので、その点については心配しなくてもいいと思います。
私も今晩は地元の旅館に泊まります。まだ直接に見ていないですけれども、多分とても金沢と石川県を味わうことができると思います。
外国人は出張での来日でしたらもちろんホテルでかまわないと思います。ビジネスホテルか、シティホテルか。コンベンションとか、コンファレンス、シンポジウムだったらそれでもよろしいかもしれないですけれども、個人的な旅行でしたらどちらかというと、そこにしかないようなところに泊まりたいと思っています。
J. 観光とは2]-“experience(体験)”を求めて
二番目は、これは英語で言うと“experience(体験)”です。自分が体験したいのです。ちょっと冒険があればいい。リスキーなところでなくて、少しでも違うということを味わいたいのです。そうすると、いい思い出をつくることができます。
例えばヨーロッパ、ハワイ、ディズニーランドヘ行くと、そういう意味での魅力があると思います。特に日本人の場合は最初は団体、パッケージで行く方が多いと思います。でも日本人でも2回目、3回目の方でしたら、ご自分でいろいろなところに行って、フリータイムがほしいと思うでしょう。もともと欧米人はそういう形だと思います。欧米人でも時にはパッケージを選ぶのですけれども、パッケージの中でまたフリータイム、自由な時間がほしいと思います。その中で普通のホテルだけではなくて、一泊でもまた違うところ、例えば温泉旅館とか、民宿とか、そのように地元にしかないようなところに泊まりたいと思っています。
先ほど言ったように、観光客のためだけではないところが一番いいと思います。ディズニーランドはどちらかと言えば観光客ばかりですが、観光客のためではなくて、本当に地元の日常生活を味わいたいと思っています。
実際に夕べ、一緒に参加されている安島先生が金沢の古い街を案内してくれました。安島先生の話では、東茶屋はつい最近、直したところとお聞きしました。その前はとてもごちゃごちゃでちょっと汚かったそうですね。そういうところは一つのいい例になります。実際に地元の人がそこに住んでいて、店をやっている。観光客がいなくてもこちらの金沢の人々がそこで愉快な時問を過ごせる。その上で、やはり観光客から見ると、すごく独特な気持ちになります。
K. 観光とは3]-“discovery(発見)”を求めて
続きまして、もう一つは、“discovery(発見)”です。自分で何か発見ができればいいですね。特に自由な時間が大事です。私はちょっとでも自由な時間があって、地図があると、自分で道を歩きます。初めての店だと、ちょっと入ってみて、そこのおばさんとかおじさんとちょっとだけ話をします。これはいい思い出になります。そういう出会いです。今まで見たことがないところ、誰も案内してくれなかったところ、誰でも行けるかもしれないですけれども、私自身が実際に歩いてパッと目の前で出会う。それはやはりディスカバリーということです。そういう出会いができるのはすごく大事です。贅沢なホテルの部屋より、思い出になると思います。