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フランク・ロイド・ライトは世界中で有名ですから、アメリカ人はもちろん海外からもいろいろな方々が訪れます。フランク・ロイド・ライトが設計した建築や、考えた場所を見たいのです。実は外部から見ていると・その街はそれほど力を入れていないようにみえます。それはいいかどうかは別の議論になりますが、ただ、フランク・ロイド・ライトがかなり有名ですから、ほっておいても人が来るのです。東京でもあまり考えなくても、とにかく人が来るしかし金沢やもう少し距離があるところ、もう少し小さいところでしたら、やはりはっきり考えないとうまくいかないかもしれないですね。

 

G. サンタフェが観光地になるまで

アメリカで最近、非常に魅力的に感じているところは、ニューメキシコ州です。サンタフェという街の名前は皆さんはよくご存じですね。サンタフェは今世紀の初め頃から、1909年だったと思いますけれども、街のリーダーと、美術館の皆さんと一緒に会議を開いて、サンタフェはどうしたらよいか、観光地にするにはどうしたらよいか、本当に真面目に考えてきました。もう90年ぐらい前のことです。それからいろいろなことがありまして、乗り越えて、多少変更はありましたけれども、観光地として、観光スポットとして、ずっと前から考えて計画してきたのです。サンタフェの例も参考になると思います。本当に観光地にしたいと思ったら、よほどの力を入れないとうまくいかないかもしれません。

実際にサンタフェに行くと、私の目から見ると、すごくいいところですが、その裏にはいろいろな問題点があります。観光地になればなったで、地元の人がどうも損になったりと、悩みがでてきます。あまり観光客が来ると、街の中のことは観光ばかりになるとかで、地元の人が本当に普通の生活ができなくなってしまいます。何でもかんでもが高すぎて、それで地元の人がどんどん街を出て、本当に魅力的なところがなくなるという悩みもあるのです。

 

H. 世界各国を回って

その後、ヨーロッパも大分旅行をしました。イギリスではしばらく住んだこともありますが、残念ながらまだ東ヨーロッパは行ったことがありません。カナダでは10年ほど住んだことがあります。ハワイも行ったことがあります。日本に住んでいますから、アジアもよく旅行しました。オーストラリアも3回ぐらい行ったことがあります。もう少しいろいろなところに行きたいのですけれども、一応世界中を回ったと思います。

あちこち行くと、普通は自分の旅行ですけれども、観光について興味もありますし、今までの仕事の中で、ホテルの設備とか、新空港の設備とかについても考えたことがありますので、自然にそういうところもちょっと見て、これはどうでしょうかと考えることがあります。今年はしばらくニューメキシコ大学のほうに学者として行って、そこの観光について論文を書きました。

そこのポエムローインディアンと観光について、どういう経緯をたどってきたかということを調べました。それも思ったより長い歴史があり、100年ちょっと前からそういうことが始まりました。

 

I. 観光とは1]-“The real Japan(本当の日本)”を探して

私が旅行者の一人として、アメリカ人の一人として観光はどういう意味があるか、ちょっと話をさせていただきたいと思います。

 

 

 

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