基調報告「観光の立場から見た、グローバリズムとリージョナリズム」
神田外語大学講師・異文化コンサルタント ホーリ・シバート・川上
今日は皆さんと一緒に金沢でお会いできることをとてもうれしく思っています。
金沢に以前来たのは2回ほどですけれども、随分前のことで、90年代は全然来ておりません。やっとこういう機会がありまして、とてもうれしく思っております。
今日は、このワークショップに参加させていただいて、光栄でございます。アジア太平洋観光交流センターの皆さんがずっと前からとても熱心にテーマを考え準備を進めておられ、こちらに来たらとても楽な気持ちで過ごしています。
本当は、今日のワークショップの最後までいったら、多分その時、初めて皆さんの本当のニーズと、本当に話したいことがわかるかと思いますけれども、初めは私から一方通行の形で話をさせていただきます。
私は現在、東京に住んでいます。80年代は、大阪と京都にずっと住んでいて、金沢はその時は実際はそんなに遠くなかったかもしれないですけれども、交通の便とかを考えてみると、印象的にはちょっと遠かったなと思います。それで昨日、東京から金沢に来て、またちょっと遠いなと感じました。やはり時間的なことと、距離的なことでちょっと疲れてくると思います。
A. 異文化コミュニケションとは
先ほど、私の紹介の言葉の中で「異文化」という言葉がありました。「異文化コミュニケーション」「異文化」という言葉は、10年前、15年前は誰も使いませんでしたし、知りませんでした。その意味でとても進んできたと思います。
でも、「異文化」というのは本当は何でしょう。私の理解では、「異文化」は比較文化と似ているところもありますが、「異文化コミュニケーション」は実際に人と人との間でどういうふうにうまくコミュニケーションができるかということです。ですから文化を比較する場合は、学者が自分の教室、研究室ではいろいろなことを考えて書くこともあるかと思いますけれども、異文化コミュニケーションになると、実際にどこかで、例えばこの場とか、街で、道で、違うバックグラウンドの人、特に違う国籍の方々が一緒になって、それで出会いがあって、何とかコミュニケーションをしなければならない。そうすると、どういうふうにうまくコミュニケーションができるか、それが異文化コミュニケーションです。やはり観光の場合もございます。店の方、街のおばさんたち、そういった人々の方が毎日のように観光客を受けているので、多分学者よりうまく異文化コミュニケーションができるかと思います。
B. 私の日本体験
今日は、少し私の個人のバックグラウンドと、私の目から見たもの、そしてテーマに入っている「グローバリズムとリージョナリズム」という言葉について話したいと思います。その上に、1人の外国人の立場から考えて、外国人はどういう旅をしたいか、どういう旅が一番いいか、どういう旅を期待しているか、日本に来る場合、どういう問題点があるか、どういう不満があるかということもお話したいと思います。