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この努力の成果がむくわれたのか、去年の夏、東京での道連、全剣連の試合で優勝する事ができました。僕にとって最高の年になりました。あれから僕の剣道への思いが少しずつ変わってきたように思いました。剣道に対して自信がつき、一試合ごとに負けられないという思いがしてきました。そして、剣道がおもしろく思えるようになり、好きになりかけていました。

ところが、一九九九年の夏、僕にとって大変な事がおきてしまいました。右足を痛めてしまい、剣道をする事ができなくなってしまったのです。僕は、すっごくショックでした。もうこれから先、剣道ができないのだろうか、みんなと一緒に練習がしたいのにできるだろうかと、心配しました。他の人の試合のかつやくぶりを聞くと、いっそうあせりが出始めました。練習がしたい、試合に出たいという気持ちになってきました。今まで、こんな気持ちになったことはありませんでした。僕は、早く道場に行きたいと思っています。そして、おなかの底から声を出し、汗を流し、必死に取り組みたいです。

僕にとって剣道は、自分との戦いの場だと思います。自分に負ける事なく、相手の目を見て、三分間の試合に集中し、相手に立ち向かって、つき進んでいける人になっていきたいです。

それに、僕には、夢があります。夢は警察官です。今、剣道をしているから、それをばねにして、自分の夢へとあせることなく、まっすぐに一歩一歩、踏み出していきたいです。

剣道と出会えていろいろなことを学んできました。なにごとも最後までやりとげること、苦しいこともたくさんあるけど、楽しい時間はやってくることなども知りました。これからも、剣道を通して、いろいろな人と出会っていく中で自分を磨き、本当の自分とは何か探していきたいです。

 

『剣道を初めて』

 

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茨城県多賀郡

十王町武道振興会

中学三年生

篠原康文

僕は今年、少年部を卒業します。剣道を始めてたくさんのことを学んだり、体験したりすることができました。

まず一つめは、剣道を始めてからの夢であった、日本武道館で行われる全国大会に出場できたことです。初めて日本武道館へ行った時はその大きさと、館内の熱気に圧倒されそうでした。そして、その全国大会も今年で五年連続出場となりました。しかし、その裏では、厳しかった稽古というのがありました。夏の暑い日、汗だくで集中力がきれやすく稽古をしたくなかった日々、そして、冬のとても寒い日、誰もが外に出たくないと思う日に、床の冷たい道場へ僕達は行き、足の感覚がなくなるくらいのつらい稽古をしてきました。僕達の先輩方はそんな気候の中でも、一生懸命稽古に取り組んでいる姿がありました。僕も、そんな先輩方に負けないようにと、一生懸命稽古をしました。

二つめは、今までの剣道生活を通して、いろいろな経験ができたことです。僕は、たくさんの試合を通してチームワークの大切さを知ることができました。勝った時はみんなで喜び、負けた時はみんなで励まし合い、そして反省することによって、新たな気持ちで次の試合に臨むことが大切だということがわかりました。

 

 

 

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