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幼い頃からずっと一緒で、もう家族当然のこの五人。剣道に出会ってなければまったく知らない間柄だったのかもしれないのに、剣道という武道をとおして、私のかけがえのない人になってしまったのだからとてもすごい事だ、剣道をやっていて本当によかったとつくづく思います。

確かに稽古はとても厳しいです。試合に負けるととても悔しいです。でもそのつらさを自分一人だけじゃなく、周りの仲間も同じようにあじわっているのです。

何でもかんでも自分一人だけが嫌な思いをしているんだ。と思っていた私が、剣道に出会い、そして多くの仲間に出会ったことによって考えが大きく変わりました。

剣道をとおして得た数多くの大切な事。ただ竹刀を振りまわすだけじゃなく、仲間の大切さもわかりました。

私はこれからも剣道を続けていき、日本、いや、世界中にたくさんの仲間をつくっていきたいと思います。その為に、これからも稽古に励みがんばっていきます。

 

執る太刀のにぎり調子は柔かに

しめずゆるめず小指はなさず

 

『剣道と出会えて』

 

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岡山県倉敷市

昇龍館一福道場

中学一年生

堀貴雅

剣道との出会いは、一九九五年の夏、剣士の募集を見て、見学に行き、おもしろそうに思い、少し打たせてもらいました。これはいけると感じ、入門することにしました。これが体が燃えつきてしまうような昇龍館一福道場との出会いでした。父も昔、剣道をしていたと言うので、いっそううれしくなりました。そして次の日から道場へ行き、毎日のように楽しく練習してきました。入門して一年後、大会に出ることになり、個人戦で八位という成績をおさめ、僕の楽しさは二倍も三倍にもふくれあがりました。……でも、そんな楽しさも毎日のようにはなりませんでした。日曜日も試合で、友達とも遊べず、剣道、剣道というパターンになってきたのです。頭から剣道が離れなくなり、好きになりかけた剣道が僕には、どうして剣道ばかりしなければいけないのかとずっと悩みこんでしまいました。だんだんと道場へ行くことができなくなり、やめたいという気持ちが強くなりました。そして、父や母に相談をすると、

「ここでやめたら、何をやっても同じこと。どんなにつらくても、一つのことを最後までやりとげなさい。」

と言われました。

僕は、一からやり直して頑張ってみようと思いました。それから練習に夢中になり、足のまめがつぶれて切れたり、竹刀が腕にあたり、青あざができたりしました。けど、一生懸命練習をしました。

 

 

 

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