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試合当日では、西川先生に色々と御指導を頂き、とても良い勉強をしました。また、剣道を通じて全国の友達を作る事もできました。僕は勉強と剣道のどちらも大切にし、文武両道を目指して努力する自分でありたいと思います。

僕は剣道を習っていると同時に、居合道も習っています。新陰流には、「昨日の我に今日は勝ち、今日の我に明日は勝て」という訓えがあります。毎日少しずつ上達できるように稽古しなさいという意味です。西川先生が僕に、「相手より○.一秒速く打てるように稽古しなさい」と教えて下さった事は、まさにその訓えの通りだと思いました。僕は体が小さいので、毎日ほんの少し昨日の自分より速く打てるように稽古すれば、体の大きな相手でも負けないと思います。「柔よく剛を制す」というわけです。

毎年八段戦が行われている明治村の「無声堂」という道場の名前は、「声無きをきく」という由来があるそうです。人に聞いて動くのではなく、自分で物事を判断し、行動するという事です。つまり、「習うより学べ」という訓えです。習うとは先生や先輩方から技や作法を教えてもらう事、学ぶとは人から教わるのではなく、自分が先生の剣道をよく見て技をぬすみ、それを工夫し、上達しようと努力する事です。僕も中学生になったので自分で学び、努力していきたいと思います。

僕は中学校に入ってから、部活動と道場通いという時間の無い生活をしていると、勉強が忙しくても、自分で物事の合い間に時間を見つけてやり、集中して取り組め、信じられない程短時間で終わらせる事ができます。しかし、自分に時間があり余っていると、いつでもやれるから…という安心感で後回しになり、結局、身につきません。

僕の母が今年の夏、イギリスで居合堂のヨーロッパサマーセミナーに参加した時、外国の方々は、講習会に対する意気込みが感じられ、常にメモの用意をし、解らない所は解るまで質問をしていたそうです。しかし日本ではせっかく講習会に参加し、良い御指導を頂いても、質問する勇気がなく、「また次の機会に…」と思っている人が多いと聞いています。僕は外国の方のような「ハングリー精神」を持って真剣に稽古する事はすばらしいと思います。母の体験から教わった「学ぶ」という姿勢も忘れてはならない母との約束です。

僕が大人になった時には、剣道が五輪種目になっているかもしれません。これから良い所をどんどん吸収して、生涯教養スポーツである剣道を通じ、色々な人と出会い、学んでいく事を将来の自分に約束したいと思います。

 

『礼に始まり礼に終わる』

 

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京都府城陽市

京都剣誠会

中学二年生

足立靖明

「剣道は礼に始まり礼に終わる」基本組だった僕は、体育館のすみで先生にこの言葉を教わった。広い体育館、防具組の人のけたたましい声とふみこみの音がひびきわたる中で。

確かに剣道の試合は礼にはじまり距鋸蹲踞をお互いにして開始する。だが、その時の僕に、この言葉の意味はまだ分からなかった。先生は続けられる。「剣道は、心と心、体と体とがお互いに触れあう、激しいものであるから、もし、礼儀がつくされなかったなら、これは、ただ単なるなぐり合いになってしまう。相手を敬まって試合をする、それが剣道のよい所だ。」試合に出場させてもらえるようになって、僕には先生のこの言葉が分かってきたと思う。

 

 

 

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