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そして、けい古が終わったら、借りている小学校の体育館をみんなで雑巾がけをします。使わせてもらってありがとう、という気持ちです。けい古でつかれた時はさぼりたいな、と思う事もありますが、「感謝の気持ち」と先生が言われていることを思い出して頑張ります。

もう一つの『心』は、強い心、辛抱する心だと思います。

高学年になったころ千本素振りを続けてみろと言われました。「千本なんて大変だなぁ。いったいどのくらいかかるんだろう。遊ぶ時間が少なくなるな。」となまけ心が顔をのぞかせます。一日目、休み休み三十分以上かかってやっと終わった時は、汗びっしょりでした。

でも、そのころ試合に出ては相面で負けることが多く、もっとスピードが出ればと、くやしい思いをしていたので、これを続けたら今度は勝てるようになるかなと思いやってみることにしました。何度も休けいしていたのが続けて振れるようになり、今度はもっと速くと、メトロノームに合わせて振ったりしました。気がつくと昨日よりも速い目もりに合わせて振るのが楽しみになってきていました。二百本ほどで、苦しがっていたのがうそのようです。

でも試合になるときん張して力が発揮できません。自分では一生懸命、頑張っているのにどうして勝てないのかと、負けては泣くことばかりでした。自分のせいでチームが負けたらどうしよう、そう考えると余計、うでも足も動かなくなります。

ぼくは先ぽうなので「大きな声を出して思いっきり行け。」と先生からアドバイスを受けました。きん張を押さえ元気に動くとチームのムードが良くなり、みんなもやる気になるような気がしました。先ぽうの役割りを果たしそして勝てた時はとってもうれしかったです。

それからは自分の勝ち負けより、後の人に少しでも楽をさせてあげたいという気持ちで試合に臨むようになりました。このように自分のことだけでなく友達のことを思う心も剣道を通して学びました。

剣道の友達は特別な友達です。激しいけい古で休みたいな、と思った時、となりを見ると、「みんなも苦しいんだ。みんな一緒だ。」と思うとまたやる気が出てきます。そんな仲間と力を合わせて試合に出るのです。負けたくやしさ、勝った喜びも一緒です。遊び友達とでは味わえない大事なものがあります。

感謝の心、自分に負けない心、友達を思う心、ぼく達のクラブの面タオルには大切な心がつまっていました。

これからも頑張って剣道を続け、もっともっと色々な心に出合いたいと思っています。

 

『出会い』

 

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愛媛県東予市

建武館道場

小学六年生

青野志保

私が剣道と出会ったのは、小学校一年の夏でした。テレビ放送されていた、愛媛県少年剣道大会の決勝戦で、愛媛建武館の小学生が優勝したのを見て、かっこいいな、私もあんな風になりたい。そんな思いからでした。

 

 

 

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