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この時、初めて僕達の道場に若い先生が多い理由が理解出来たのです。若い先生方は、小学校の頃から剣道を教えてもらい、大学などでしっかりけい古したことで、剣道を上手に出来るようになって、こんどは社会人となって、僕達に指導してくれているのです。人のために「してあげる幸せ」を僕の剣道団の若い先生方は、学んだ通り行動、実践しているのです。この姿を見たり、先生の話を聞いたりしているうちに、僕も将来この「してあげる幸せ」を実感してみたいと考えています。人のために尽くすことの出来る人間こそほんとうの幸せ者だということを僕は六年間剣道を通して学ぶことが出来ました。剣道の技術を学ぶことも僕は大変幸せです。それ以上に人間としての基本的な生き方を学べたことに感謝したいと思います。この三つの幸せをしっかり頭の中に入れておくことで、僕はぜいたく人間になれると思います。ぜいたく人間とは、「たった短い我が人生を、人のため世のために、尽くすことの出来る、勇気と行動」であることも剣道で学べたからです。決してぜいたくとは、名誉や地位や財産でないことを知りました。

最後に皆さんにちかいたいと思います。小泉敏は、「してあげる幸せ」を求めてこれからも剣道でしっかり汗を流すことを。

 

立合(たちあひ)は心しづかに氣をくばり

富士のすかたを姿とはせよ

 

『大切な心』

 

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広島県福山市

福山曙剣道クラブ

小学六年生

藤川亮介

ぼくが剣道を習い始めたのはちょうど4年前。初めての見学の日、大きな声を出し、冬だというのにみんな汗を流してけい古をしているのを見て、おもしろそうだなと思いました。

さっそく次の日からけい古に通い始めました。初めは、すり足や竹刀の各部分の名前を覚えたりしました。「竹刀は、自分の体の一部だと思って大事にしなさい。防具も大切に扱うように。」と言われ、どんなに重くても必ず自分で持ち、自分で手入れをすることを先生と約束しました。

素振り・すり足・面打ちなどを少しずつ教わり、いよいよ防具をつけることになりました。「面タオルをつける時は、心を落ち着け、そこに書いてある言葉の意味を自分で考えてつけなさい。」と、先生が話して下さいました。

ぼくたちの福山曙剣道クラブの面タオルには、『心技一如』と書いてあります。

『心』とは、感謝の心だと思います。

先生は、「試合で負けてもきちんと礼をするように。」といつも言っておられます。

ぼくは、けい古の時、いいかげんな礼をしているのを見つけられ、「一生懸命、相手をしてくれている先輩達に失礼だ。大事な頭を、お前のためにたたかせてくれているんだぞ。感謝の気持ちがないとダメだ。」と、言われました。ぼくはおどろきました。今まで当たり前と思っていた自分が恥ずかしくなりました。それからは心をこめて礼をするように気をつけています。

 

 

 

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