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これのくり返しでもうイヤになった頃剣道を始めました。皆と違うカッコイイ部に入りたいそう思って、剣道部に行くと、

「コテ、メン、ドー、ヤー」

と元気よくやっていて、他のどの部より輝いて見え、すぐにこの部に決定しました。カッコイイから始めた剣道、学校の部に入ったのがキッカケでした。

私が純正館に入館したのはある日のクラブの稽古の時です。中谷絵美里という友達と、切り返しをやっていると、その子の打ち方はまっすぐ上にふりかぶり、左手は中心にそのまま右手で切り返したのです。皆は左手と右手が一緒の方向にいってしまい、それしかできないのに、しかもさらに大きな声で、

「お願いします。」

「ありがとうございました。」

そうやっている絵美里はとてもすごいと思いました。まるでいつもと別人なのです。私はその子にどうやって強くなったのかと聞いてみました。すると「道場に入ったの」というのです。

それだけの言葉に私は悩みました。道場に入ろうか入らないかです。答えは、

「見学しに行こう」

という事で一緒に学校帰りに寄ることにしました。道場の前で聞こえたのは、

「こらあ早くしろっ」

その言葉にビクビクしながら玄関を入ると、皆楽しそうにしていて、すぐにでも入りたくなるようでしたがその日は見学をして帰りました。その日の夜母に私が言った言葉は、

「私、道場に入る。」

私は自分からどこに入りたいなど言った事がない子なので母はすぐにいいよと言ってくれました。

そして、十二月一日冬の寒い時に入館しました。最初は礼の仕方でした。私の心の中では早く皆とやりたい。そう思っていましたが、今思うとあの時教えてもらっていた基本が良かったなと思います。そうじゃないと何も出来なくて全然上達しなかったと思うと本当に良かったと思い又、先生方に感謝しています。夏の暑中稽古や冬の寒稽古、日常の稽古も今度からあまり休まずにどんどん上達して試合にも勝ちたいです。

試合では先生からパワーがあるといわれますが、中谷絵美里は姿勢がいいといわれます。しかし、私はパワーより今度からは休まないという事が最も大事だと思います。だから私はずっと長く剣道を続けていこうと思います。

カッコイイという理由でクラブに入り、友達の近くの純正館に入って上達できた事はとてもとてもうれしいです。そして、剣道を続けて強くなり、礼儀も、試合も上達したいです。

 

蟻のはふ音(おと)も聞(きこ)ゆるほどにまで

こゝろすまして場に出づべし

 

 

 

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