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『剣道を通じて』

 

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栃木県鹿沼市

鹿沼市剣友会

小学六年生

沼尾茜

私が剣道を習い始めたのは、小学一年生の時からです。剣道を始めたきっかけは姉と兄が剣道をやっていて、三才の時からそのすがたを見ていたので私も剣道をやりたいなと思うようになったからです。

小学一年の一月のある日、「剣道をやりたい。」と、父と母につげると、「よしっ本当に剣道をやりたいんだな。」と言って、次の日、さっそく竹刀を買ってきてくれました。そしてその週の水曜日から、鹿沼市剣友会にはいることになったのです。最初はどきどきしていたけれど、すぐに友達もでき、とても楽しく剣道を始めることができました。そして、剣道だけでなく、剣道を通じて、いろいろな体験をしました。

まずは、私が住んでいる鹿沼市に流れる黒川を、地域のボランティアとして毎年二回に分けて清掃することです。小学生や中学生とそのお父さんやお母さん方といっしょに、花火大会や秋祭りなどでよごれた川の公園を、きれいに清掃します。多人数で一生懸命やったので、清掃も早く終わり、すごくきれいになって、いい汗をかいたなぁと思いました。鹿沼警察署にゴミを持ち帰って、参加賞としてジュースやノートなどをもらいました。すごくうれしかったです。

小学三年生の夏休み、老人ホームで働いている母が、昼休みで仕事から帰ってきて、姉と兄と私が、ぼーっとしているのを見て、「夏休みだからってだらだらしていないで、老人ホームのおばあちゃんたちに剣道を見せてあげたら。」と言いました。最初は、めんどうくさいからいやだなと思ってました。でも、「きっと、喜ぶよ。」と母が言って私はやってみようかなと思い、三人で話し合って行くことになりました。老人ホームの中に入って、おばあさんやおじいさんが思ったよりいっぱいいたので緊張してしまいました。私は、切り返しや、打ちこみをやって見せました。次に姉と兄が、日本剣道形をやりました。全部終わって三人で礼をすると、おばあさんやおじいさんやホームで働いている人たちが大きな拍手をして、喜んでくれました。私は、やっぱりここに来て剣道をやったかいがあったなとうれしく思いました。

小学三年の二月には、益子焼の湯のみ茶わんに絵を書いて、鹿沼市剣友会の小学生と中学生が作った約百二十個を、老人ホームのお年寄りにプレゼントしました。中には、うれしくて涙を流してくれた人もいました。私は、今だにその時のお年寄りの顔はわすれません。

小学四年の六月、私の夢であった日本武道館で試合をすることがついに決まりました。全日本少年武道錬成大会に出ることになったのです。私は、補欠でしたが、ついでも試合に出られるように一生懸命けい古しました。大会当日は、みんなが勝てるようにがんばって応援しました。声がかれるくらい応援しました。鹿沼市剣友会はどんどん勝ち進み、準優勝することができました。試合の出番はなかったけれど、銀メダルをもらえてすごくうれしかったです。

しかし、これがきっかけでうぬぼれてしまい、自分の剣道がよく分からなくなってしまいました。私は、無我夢中でけい古しました。その時にふと気がついたのです。自分の剣道がよく分からなくなったのは、先生や兄から教えてもらった事に、私はすなおになれなかったからなんだなと思いました。

 

 

 

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