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International Visitors' Week '99

インターナショナル・ヴィジターズ・ウィーク'99

 

本プログラムは、国際交流基金との共催による97年度からの継続事業で、海外の舞台芸術関係者を招聘し、フェスティバルの視察と実践的な現場の情報交換をすることを目的としている。これは、フェスティバルとは、単にそこに参加する関係者のためだけのものではなく、海外の関係者にその国の舞台芸術をアピールし、関係者同士が交流する機会でもあるという考えに基づいて行われているものである。今回は、7ヶ国10名の参加者とともに5日間に渡って実施された。

参加者は、在日各国大使館文化部に、今後の交流を考える上で、ぜひ日本の状況を知っておいて頂きたい方をご推薦いただいたり、こちらが今まで視察したフェスティバルで、日本のカンパニーを招聘した実績があるフェスティバルや日本のアーティストと共同製作を考えている劇場などから招聘した。また、アジアからは、単なる海外公演をするより、アーティスト同士のコラボレーションが出来れば・・・という願いから、演出家を招聘した。

本年度の特徴は、前回の参加者からのフィードバックに基づき、参加者が直接アーティストに会う機会を多く設けたこと、海外の関係者に日本の状況を紹介するだけでなく、彼らからも日本の制作者に向けてレクチャーをしてもらい、より相互交流的な色合いを強めたことである。

前回は、第三者が国際交流の場で活躍することが期待される演出家、振付家の紹介をしたが、今回は、アーティスト本人に来ていただき、ヴィデオを交えて、自分の仕事について語ってもらった。これは、参加者には大変好評で、しばしば各自の持ち時間をオーバーするほどの活発な質疑応答が行われた。

また、海外の関係者によるレクチャーには、国内の制作者30名ほどが集まり、それぞれの国に海外公演をするためのアドバイスに熱心に耳を傾けた。特に、イスラエル・フェスティバルのディレクターの「まず、ヴィデオを送って下さい。プログラム・ディレクターがそれを観て、おもしろいと思ったら公演を観に行きます。」という具体的な話は、海外公演を行いたいが、どのようにコンタクトを取れば良いのかわからないというカンパニーに対して大変説得力のあるものだった。

このプログラムの最大の成果は、もちろん日本の現状を海外に紹介できたことであるが、私たちの側にも大きなメリットがあった。ひとつは、彼らの目を通じて、日本のアーティストの国際レベルでの位置づけを再認識できたことである。日頃から見慣れているアーティストの公演でも意外な見方を教えられたり、国際的に活躍していくためにはどうしたら良いかという示唆に富んだ意見は、今後の環境を整備していくために何をすべきかを考える上で参考になった。

さらに、今回初めて東京で出会った参加者が、最終日にはすっかり打ち解け、互いが互いの「人的な財産」になったことは、コミュニケーションの磁場でありたいと願う私たちにとって、何にも増して喜ばしいことであった。参加した演出家たちが抱き合って再会を約束する光景は、新しいアジアの演劇の誕生を予感させた。

インターネットが急速に発達する社会の中で、創り手と観客が顔を合わせる舞台芸術はむしろ原初的なメディアかもしれない。その関係者である私たちのネットワークも、やはり電子メールのやりとりだけでなく、お互いが顔を合わせ、一緒に公演を観て意見を述べ合うところからしか築いていけないのである。このような形式的な視察旅行ではない、現場レベルの交流は一緒に仕事をする関係へと発展しやすく、今後もぜひ続けて行きたいと思っている。

 

10月19日(火)〜23日(土)

会場:世田谷文化生活情報センター セミナールーム

IVW参加者名薄(海外10名)

 

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