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具体例としては、新聞報道においては「災害ボランティア活動関連情報欄」等を別途設けること、テレビ・ラジオ報道においては「災害ボランティア活動関連情報速報」等を逐次流すことなどが考えられる。

この手法の問題点は二つある。一つ目はマスコミ各社に対する要請を誰がどのような形で行うのか、そしてそのコンセンサスが果たして得られるのか否かという点、二つ目は災害ボランティア活動の円滑化に必要な情報を誰がどのように取りまとめ、マスコミに提供するかという点であるが、次項で述べる手法を併せて採用することが解決策となろう。

2] 情報発信システムの構築

次に考えられるのが、既に「専門職ボランティア」の不在問題に対する解決策の一つとして述べたように、「情報発信システム」を構築するという手法である。

「情報発信システム」とは、災害ボランティア活動の円滑な実施を図る上で必要な諸情報のすべてを一元的に収集・管理し、当該活動への参加希望者に対し的確に伝えるなどの機能を備える組織である。

「情報発信システム」では、関係官公庁及びマスコミ各社、並びに各地で立ち上がったボランティア受入れ組織等から寄せられた、災害ボランティア活動の円滑化に必要な関係情報のすべてが、環境庁国立環境研究所が開発した「流出油の回収対策等に備えた海及び海陸境界線のGIS(前述)」などのシステムを用いて一元的に集中管理されていることが望ましい。

「情報発信システム」から発信される諸情報は、災害ボランティア活動への参加を希望するボランティアのみならず、関係官公庁、マスコミ各社等の情報提供側にもフィードバックされるような仕組みとする。

無論、このような「情報発信システム」を関係官公庁が新たに構築することも考えられるが、民間組織としては我が国では唯一「日本環境災害情報センター(略称JEDIC、前述)」が当該組織になり得るものと思われる。

ただし、この手法の大きな問題点は、官民の情報提供側が当該手法の主旨に同意の上、災害ボランティア活動の円滑化に必要な諸情報を一民間組織に対し無条件に提供するか否かという点である。

ところで、現在JEDICでは、環境災害対応に関する知識及び技術の普及などを目的に、官公民一体となった学習会を定期的に開催している。同学習会には災害ボランティア活動への参加を希望するボランティアを含むNGOを始め、関係官庁、マスコミ、海事・石油・環境等の関係団体も多数出席している。

 

 

 

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