同システムには、災害ボランティア活動の円滑な実施のため必要な諸情報をボランティアに対し発信する機能がサブシステムの一つとして組み込まれている。
すなわち、災害ボランティア活動への参加を希望する一般市民等は、インターネットによりシステム管理者のサーバにアクセスし、必要とする諸情報を入手することができる。インターネットの利用はモバイル化されていて、一般市民等は携帯電話等に接続することにより、いつでもどこでも必要とする諸情報の入手が可能となっている。
ここで言う「必要とする諸情報」とは、例えば各ボランティア本部ごとのボランティア活動地点、活動人員及び必要人員数の現状、並びに活動に当たってのボランティアに対する注意事項や携帯必需品などに関する情報のことを指している。
現在、同システムのサーバは同研究所内に置かれ、機能検証のための試験運用が行われている。
将来、同システムを地方公共団体や「情報発信システム」が導入し積極的に活用することも、「専門職ボランティア」の不在を補うための一つの手法として考えられる。
2] 専門職ボランティアの育成
次に油回収活動に係る「専門職ボランティア」を、「海上災害防止センター(以下、海防センターと呼ぶ。)」に代表される専門機関において、新たに育成するという手法が考えられる。
海防センターは海上に流出した油の除去など、海上防災業務を行う民間の中核機関として、海防法に基づき設立された認可法人である。
海防センターでは流出油災害や船舶火災など、いわゆる海上災害が発生した際に、海上保安庁長官の指示もしくは船舶所有者の委託を受け防除活動及び消火活動を実施するなどの業務を行っている。また、タンカー等の乗組員、石油・電力等エネルギー関連施設の職員等を対象に、消防、油及び有害液体物質の防除等に関する教育・訓練を行っている。
こうしたことから、災害ボランティア活動への参加を希望するボランティアのうち、リーダー等の少なくともその活動の中心的役割を担うボランティアに対しては、海防センターのような専門機関において、油回収活動に必要な専門の知識・技能等を習得させることも一つの手法であると考えられる。