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第3章 「野生動物救護ボランティア活動とその後の展開」

 

ナホトカ号事故においては、災害ボランティア活動以外にも、地元住民有志による炊き出し奉仕活動、県鍼灸マッサージ師会によるマッサージ治療等の奉仕活動、医師・看護婦・保健婦等による治療・健康診断・健康相談等の奉仕活動など、様々なボランティア活動が行われていた。

本章ではそのうち、今後、災害ボランティア活動に関する検討を進める上での参考とするため、国家緊急時計画においてもその活動が取り上げられている野生動物救護ボランティア活動(本調査では、獣医師団体等による無償の野生動物の救護・保全活動のことをいう。)に着目し、ナホトカ号事故をケーススタディとした活動実態及びその後の展開について整理を行った。

 

3.1 ナホトカ号事故と野生動物救護ボランティア活動

 

本節では、国家緊急時計画において野生動物救護ボランティア活動がどのような形で触れられているかについて述べるとともに、ナホトカ号事故をケーススタディとした主として海鳥に関する野生動物救護ボランティア活動の実態について整理を行った。

(1) 国家緊急時計画と野生動物救護ボランティア活動

国家緊急時計画(巻末の「参考資料1」を参照)では、野生動物救護ボランティア活動に関連する記述を見ることができる。

すなわち、第3章「油汚染事件に対する対応に関する基本的事項」、第8節「野生生物の救護の実施」において、環境庁に対し、油汚染により野生生物の被害が発生した場合に、油が付着した野生生物の洗浄、油付着に伴う疾病の予防、回復までの飼育等の救護活動が、獣医師、関係団体等の協力を得て円滑かつ適切に実施されるよう措置を講じることを求めている記述である。

国家緊急時計画は前述のとおり、ナホトカ号事故を教訓として見直しが行われ、事故後の平成9年12月に改定が施されたが、野生動物救護ボランティア活動に関連する当該事項については、旧国家緊急時計画においても同文にて記載されていた。

このように、国家緊急時計画では平成7年12月の策定当初から、野生動物の救護に関しては、官民一体となった協力体制のもと対応を図ることが計画されていた。

 

 

 

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