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1.3 国家緊急時計画・防災基本計画と災害ボランティア活動

 

本節では、ナホトカ号事故の概要を振り返るとともに、我が国の国家緊急時計画における災害ボランティア活動の関わり、我が国の災害基本計画における油汚染事故に関係する部分等について整理を行った。

(1) ナホトカ号重油流出事故

平成9年1月2日未明、ロシア船籍のタンカー「ナホトカ号」、13,157総トンは、風速約20メートル、波高約6メートルの悪天候の中、C重油約19,000klを積載し、中国上海港からロシア国ペトロハバロフスク港に向け日本海を航行中、隠岐諸島北北東約100kmの地点において、突然船体が折損、船尾部は沈没、船首部は半没状態で漂流を始めた。

この事故により、推定約6,240klのC重油が海上に流出するとともに、船首部は推定約2,800klのC重油を残存したまま、1月7日午後、福井県三国町安東岬付近の海岸に漂着した。さらに、海上に流出した重油の一部は、島根県から秋田県に及ぶ日本海側の1府8県の海岸に漂着、沿岸域の自然環境、社会・経済活動等に対し甚大な被害をもたらした。

海上保安庁、防衛庁、運輸省、水産庁、地元自治体等をはじめとする官公庁はもとより、海上災害防止センター、石油業界、地元住民、ボランティア等の民間を含めた文字どおり官公民一体となった懸命の防除活動が、厳しい海・気象条件下で行われたことは記憶に新しい。

(2) ナホトカ号事故を教訓とした国家緊急時計画の見直し

平成7年12月15日、油汚染事故に備え、関係行政機関が情報交換及び所要の調整を行うことにより、国として油汚染事故に対して迅速かつ効果的な対応を行うことを目的として、国家緊急時計画が閣議決定された。

同計画は、油汚染事故への準備に関し、平時における情報の総合的な整備をはじめ、対応体制、通報・連絡体制及び関係資機材の整備、これらに関連した訓練について定めている。また、油汚染事故への対応に関し、発生から事後の監視までの措置について順を追って定めている。

平成9年1月2日に発生したナホトカ号事故への対応は、同計画に基づき国家として大規模流出油事故対応が本格的に行われた初めてのケースであった。ナホトカ号事故に際しては、同計画に従い、関係機関が相互に緊密な連携を確保しつつ所要の対応が行われた。

 

 

 

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