1992年UNCED(国連環境開発会議)
船内バラスト水により侵入する非土着種問題は、より広範囲な環境フォーラムでも認識されている。
1992年リオデジャネイロ国連環境開発会議(地球サミット)において、本件が国際的に重要な関心事であることが認識された。
同会議は、海運による海洋環境悪化問題解決努力のため、“非土着生物の拡散を防止するためのバラスト水排出に関する適切なルール採択の検討”を含む12の追加方策の必要性を評価するよう各国に要請した。*
* アジェンダ21、第17章、第17.30(a)(ヲ)項。UNCEDにより採択されたアジェンダ21は、“今日課せられている問題を処理し、かつ、世界の次世紀へのチャレンジをも準備し、また、環境及び開発協力に関する、最高級のレベルによる地球規模のコンセンサス及び政治的関与を反映している。”アジェンダ21、第17章、“大洋、閉鎖及び半閉鎖海域並びに沿岸域を含むあらゆる種類の海の保護、かつ、それらの生物資源の保護、合理的利用及び開発”は、インターネット:http://www.igc.apc.org/habitat/Agenda21/ch-17.htmlで入手可能である。
一方、IMOでは1992年10月の第33会期MEPCにおいて、豪州が提出したバラスト水に関する文書を検討するための非公式作業部会が設置された。MEPC 33は、バラスト水についての調査を実施し、かつ、1991年ガイドラインが履行状況を調べるための会期間通信部会を設置するという非公式作業部会の提案を是認した。
この通信部会には、米国、カナダ、英国、ニュージーランド及び日本が参加し、豪州が幹事国を努めた。
1993年バラスト水調査
1993年の第34会期MEPCに、豪州がバラスト水調査結果を提出した。
この調査は13ヶ国からの回答をベースとしたもので、“いくつかの国においては、異国生物・種の侵入が、海洋環境、水産養殖及び他の産業に対し大きな経済的影響を与えている。水産養殖場が数回にわたって閉鎖されたいくつかの事例もある。このことは、これらの産業やここで働く人々、ひいては結果として国家経済への財務的損失という結果となっている。有毒藻類ブルームによってニュージーランドの貝産業全体が国内及び輸出市場に向けて閉鎖された。”ことを銘記していた。