ヘ. (長崎〜福江〜奈留島〜奈良尾)
・本航路は長崎と五島を結ぶ生活航路であるが、長崎港内、長崎港口付近、福江港口付近以外は船舶の航行や操業漁船が少なく、航行環境のよい航路である。乗船中において他の船舶との見合い関係は少し見受けられたが、いずれも衝突のおそれに至る前に回避動作が取られ、また港内で接近する場合は注意喚起信号や追越し信号が行われ、安全に回避されていた。航法諸規程は良好に遵守されていると見受けられた。
ト. (博多〜壱岐〜厳原)
・港内および港外における航法諸規程の遵守は十分であり、見合い関係に入った他船に対しても衝突予防装置を用いてCPAやCPTを追跡し、衝突のおそれが発生しないよう十分な余裕を持って避航していた。
チ. (境港〜西郷〜海士〜浦郷〜七類)
・日本海という航行海域の特性は、航行する船舶数が少ないため船舶の輻輳度が小さいと言える。海上衝突予防法の航法規程を適用する場面はほとんど見られなかった。しかし、船舶の輻輳度が小さく、海難の発生件数が少ないといえども皆無ではない点に安全の落とし穴があるということを指摘したい。
<検討事項>
イ. (新潟〜苫小牧)
・夜間、他船の灯火に気を遣って見張りをしている様子は好ましかったが、自船の航海灯の光りが第4甲板・第5甲板の外部照明灯の光でバックスキャッターを起こし、他船からは見難くなっており、また同灯火がウィング天井に反射し自船の見張りもし辛くなっている。外部通路の照明の光が前方に出ないよう工夫する必要がある。(第4甲板の最も近い灯火のみ日覆いが施されていた)
ロ. (長崎〜福江〜奈留島〜奈良尾)
・当日は、連日の荒天が回復しそれまで操業できなかった漁船が多数出ているとのことであったが、早めに十分な回避動作が取られていた。しかし、当直に立つ乗組員は単に漁船を避けるのではなく、漁業の種類や漁法を熟知し回避動作に活用する必要があるように見受けられた。
ハ. (境港〜西郷〜海士〜浦郷〜七類)
・出入港時(特に通峡時)、船長の見張りを補佐するための報告を確実に実施すべきである。「船長が見ているから報告しなくても大丈夫」ではなく「船長が見落としているかも知れない」という前提に立ち、二重、三重の安全対策が必要であると言えよう。
・早期避航という立場に立っているならば、操船信号や注意喚起信号を積極的に行う必要がある。自船は相手を見ていても、相手が自船を見ていないということも十分に考えられるからである。