ケミカルタンカーの運航や操作に関連して、積荷の有害液体物質が船外へ排出されるのは、以下のようなケースが考えられます。
(1) 荷役の際の不適切な操作による排出
(2) タンク洗浄水、バラスト水等を船外排出する際の不適正な排出
(3) 船体損傷等の事故による排出
これらの排出を未然に防止し、あるいは排出に際して適切に対処するためには、船舶所有者は各船ごとに有害液体汚染防止管理者を選任するとともに、各船は有害液体汚染防止規定を定め、同管理者の管理のもとで万全の操作あるいは措置がとられなければなりません。特に上記の(2)に関しては、各船に装備された有害液体物質排出防止設備が適切に操作され合法的な排出が守られる必要があります。この操作は、各船ごとに承認されかつ備え付けられている設備の操作手引書が示すところに沿って忠実に実施されることとなります。
以上のように、有害液体物質をばら積み輸送するケミカルタンカーの有害液体物質の排出に関する操作等は、細部に至るまで規制が課せられています。また、これを実行することが有害液体物質排出防止の手だてにほかなりません。従って各船の乗組員は、自船が該当する規制を十分に理解した上で、適切な運航及び操作がなされるよう心がけなければなりません。
2 有害液体汚染防止管理者
有害液体汚染防止管理者は、各船それぞれに選任されます。その任務は、有害液体物質記録簿への所定事項の記入と保管、また荷役等の作業に際しては経過を把握するとともに、船長を補佐して排出防止の適切な助言を行うことなどです。その他有害液体物質の受入施設に関する情報を集めておくことも任務となります。
選任は次のように行われます。
会社は、海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律(以下「法律」という)第9条の4の規定に基づいて、有害液体汚染防止管理者を当該船舶に乗り組む船舶職員の中から選任(解任)します。