スロップタンクを持たないタンカーでは、従来から行われているタンククリーニングの方法で、船外から海水を吸引してクリーニングマシンに送り、タンクを洗浄後、その汚水は、貨物艙を準用したスロップタンクに集め、また、ダーティ･バラストの高濃度の油性汚水も同様にこのタンクへ集めます。
◎この油性汚水を適当な時間静置すると、比重差により油と水が分離をする。
◎油と水の境界面の深さに十分な注意を払いながら水分を船外へ排出する(これを“水切り”という)。
◎油を排出しそうになったら、すぐにポンプを停止し、静置して油水の分離する。
◎油水が分離したら水切り作業を繰り返す。2〜3回行うと、タンク内には、油とわずかな水分だけが残る。
(6) タンク洗浄水･油性水バラストの排出
海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律では、原則として全海域とも禁止ということになっており、排出する場合は、一定の排出基準によらなければなりません。
ところで、一番問題になるのはタンカーから出るダーティバラストとタンク洗浄水です。
1] 外航タンカー
排出基準 (32ページ参照)に適合し得る処理方法としては、ロードオントップ方式の採用があります。
[ロードオントップ方式]
従来から原油を輸送する外航タンカーで採用されている方式 (1961年に開発)で、この方式の適切な運用によるならば、新しい排出基準に適合し得るものと考えられています。
この方式は、タンク洗浄水やダーティバラストを特定のタンク(スロップタンク)へ(ダーティバラストの場合には、静置しているので、下方の油分濃度の薄い水の部分を海面上へ排出し残りの油分濃度の高い部分だけをこのタンクへ)集め、水切りをした後、その上へ次の貨物油を積む方法です。
