日本財団 図書館


(3) 有害液体物質による海洋の汚染の防止のための設備等 (法9の3)

1] 有害液体物質排出防止設備(法9の3-1]、技術基準21)

海洋環境を保全する見地から、有害液体物質の排出基準は確実に遵守される必要があるが、このためには、排出基準の遵守を船舶の運航者の行為規則に委ねるのではなく、排出基準を機械的に担保するための設備の設置を義務付ける必要性から、本項が設けられている。有害液体物質をばら積みして輸送するすべての船舶 (有害液体物質ばら積船)の船舶所有者は、有害液体物質を積載した貨物艙及び関連管系内に残留する有害液体物質の量を少なくするため又は有害液体物質を含む水バラスト等を船内で貯蔵若しくは処理するための有害液体物質排出防止設備を設置しなければならない。

有害液体物質排出防止設備は、積載する有害液体物質の区分に応じて次の措置から構成される。

イ. 予備洗浄装置 (技術基準22)

貨物の取卸しが行われた後、貨物艙を真水等で洗浄するもの (A類物質等、B類物質等又はC類物質等を積載する貨物艙。ただし、A類物質等を積載する貨物艙にあっては専ら濃度測定による事前処理を行うもの、B又はC類物質等を積載する貨物艙にあっては専らストリッピングによる事前処理を行うものを除く。)

ロ. 有害液体物質水バラスト等排出管装置 (技術基準23)

水バラスト等を受入施設へ移しかえるための排出口を有し、排出用マニホールドを暴露甲板上の両舷に設けたもの (すべての有害液体物質ばら積船)

ハ. 喫水線下排出装置 (技術基準24)

喫水線下に位置し、排出口の口径のQd sin θ/5l(m)以上とする等、有害液体物質を含んだ水バラスト等を海洋へ排出し、すみやかに拡散させるもの (A類物質等、B類物質等又はC類物質等を積載する有害液体物質ばら積船であって、政令別表上の8第1号から第3号までの排出基準により排出を行うもの)

Qd:排出用ポンプの1時間当たりの最大排出容量 (立方メートル)

θ:排出用配管の船体外板に対する取付角(度)

l:船首垂線から喫水線下排出口までの距離(メートル)

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION