“寄せては返す磯の波”というのは、日本画的風情としてはよいですね。
沖合いから寄せてくる波は、沿岸部の水深の変化、海岸の地形、海岸構造物、水道や河口での水の流れなどの影響を受けて、砕け波、干渉波、三角波などのように、波高が高まり、波頭が砕け、船舶にとって危険な波に変化することがあります。
特にプレジャーボートなどの小型船が、このような知識を持たず、海域状況の把握もせずに安易に出港して、港の入り口付近や海岸部で転覆する事故が多く発生し、中には尊い多数の命を一時に失ってしまった例もあります。
1 浅海効果
波は沖合いから海岸部に近づくと海底の影響を受けて複雑な動きをします。この浅海効果の主なものを記します。
1] 屈曲
波は水深が浅くなると波速が落ちるので浅い方に曲がり、波の峰線は海底地形に並行になろうとし、岬の先端のように突き出た部分では波が収束して波高が増大し、砕波も激しくなります。
2] 砕波(さいは)(白波と磯波の二つの型がある。)
「白波」は、水深の十分に大きいところで波涛が発達して波高が限界値に達すると波の峰の付近が白く泡立って砕けるもので、風速が約6m/sになると発生し風速の増加につれて発生頻度が増し、白波の砕けが激しくなります。