調査によれば外国船だけでなく、日本船舶でも適正な海図を備えていないものが多いと言われており、特に、いつもの慣れた海域を航行している船舶では、海図を海図台に出してさえいない船もみられるそうです。
このような状況が、船位不確認、針路設定、運航の誤り、水路調査不十分の大きな要因になっていると思われます。
2 乗揚げ防止
次にあげるような基本を踏まえた航法が求められます。
(1) 船位の確認
1] 自船船位、安全圏(逆に危険界)を常に確認するよう習慣づけておくこと。
2] 他船を避航する場合は前項の確認を行うほか復針時にも安全を確認すること。
3] 視界不良時や夜間の航行では、レーダーやGPSなどを十分に活用すること。
4] 狭水道通過、島嶼間航行、浅所点在地航行、障害物の存在する湾口出入り時などにおける船位の確認は、必ず海図などと照合して安全を確認すること。
(2) 体制及び心構え
1] 自船の航海に必要な適正な海図などを必ず整備しておくこと。
2] 針路を記載した海図を必ず海図台に出して置き、必要な時には直ぐに位置を確認し、または目標物、障害物などを容易に照合できるようにしておくこと。
3] 針路の設定にあたっては、海潮流の影響があっても、また航行船・漁船を避航しても暗岩や浅所などの障害物を十分に離す針路を選定すること。
4] 沿岸部や狭水道、島嶼間などを航行する場合、海図への針路の記載にあたっては、顕著目標の正横距離の記載、必要な船首目標の選定、避険線の記載など、位置確認や安全圏の確認を容易にできるようにした表示をすること。
5] 慣れた海域での思い込みによる目視、目測、経験に頼った航行による乗揚げが多いことを念頭に置いて、「大丈夫だろう !」操船はしないこと。
6] 視界不良時、狭水道や島嶼間航行時は、船長の昇橋、当直の増強を行い体制を強化すること。
7] 居眠りによる乗揚げが非常に多いことを認識し、居眠り防止措置をとること。
8] 自動操舵に任せて前方の海域の見張りを怠るようなことをしないこと。