どうしてでしょうか。最近の海難では「乗揚げ」が増え「衝突」と1、2位を争うようになっています。
特にタンカーでは乗揚げが同船海難全体の約半分(49%)、貨物船でも41%をも占め、旅客船でも24%、漁船では17%と乗揚げが大きな割合を占めています。
乗揚げは、特にタンカーでは大量の貨物油、危険物などの流出という二次災害を発生させるもの、また貨物船でも燃料油の流出を伴い、沿岸施設、漁業資源などに甚大な被害を及ぼすものも見られます。
1 原因
海難統計にみられる原因は次のとおりです。
1] 船位の不確認
2] 居眠り
3] 針路設定、運航の誤り
4] 水路調査不十分
レーダー装備船が増え、レーダーの性能も向上し、GPSのような最新の機器が出現しているのに、どうして乗揚げが増加しているのでしょう。
レーダーやGPSプロッタなどの画面上で手軽に船位判断ができる機器が普及し、その「画面上のみでの位置判断」(正しい船位の確認とはいえない)で済ませてしまい、海図などでの位置確認、海図との照合をしないことが原因となっていると思われます。