2 双眼鏡の機能と活用
人間の目には、物の識別、暗闇での感覚など見える限度があります。それを補うのが双眼鏡です。
(1) 暗闇での機能
双眼鏡が遠くにある物体を大きく、詳細に見せる機能を有していることは今さら説明するまでもないでしょう。ここでは、夜間には目で見えないものでも見える機能をもっていることについて説明します。
なお、市販の双眼鏡であればどれでもよいという訳ではありません。一般に船で使用されている「7×50」(倍率×対物レンズの直径(mm))の双眼鏡を取り上げてみましょう。
人間の目の昼間における平均的瞳孔径は3〜5ミリですが、夜間の場合は25歳以下の人で平均7ミリ(60歳以上は平均6ミリ)となります。一般の双眼鏡は昼間の瞳孔径を考慮して設計されているので、夜間大きくなった瞳孔に見合う光の量に達せず夜間用には適さないのです。
夜間見える望遠鏡としては、[R=D/Pa]の関係を満足させる必要があります。
望遠鏡標準倍率:R、対物レンズの直径:D(mm)、入射瞳孔径:Pa(mm)
Pa=7mmと仮定されるのでD=7×Rを満足させるものであればよい。
現在航海用として広く使用されている「7×50」の双眼鏡についてみると、R=7であるからD=49となり、上記の条件をほぼ満足させているので、夜間用として適していることになります。
双眼鏡は適正な見張りの必需品です。プレジャーボートなどの人は、もしかしたら暗い中ではよく見えない双眼鏡をもって夜間航行をしてはいませんか。
3 双眼鏡使用の注意事項
1] 適正な性能を有した船舶用双眼鏡を使用すること。
2] 自分の目に合うように調整し、すぐ使用できるように手元に置いておくこと。
従って他人との共用は好ましくない。(船長は専用のものを備えること。)
3] 良好な状態を保つには、衝撃を与えないこと、長時間直射日光にさらさないこと、湿気の多いところには保管しないこと、使用後はレンズの手入れを怠らないこと。