物体を認識するためには、特に「明るさ」と「対比(目標と背景の明るさの差)」が重要な要素となっています。
「対比」についての海上実験によると、水平線が見分けられなくなるのは日没後の薄明時間の1/2を経過した頃であるという結果が出ています。
なお、薄明時間は観測者の緯度が高くなるはど長くなり、赤道上では68分ですが東京では85分になります。
2 船影などの見え具合
薄明時間における船影などの見え方の実験によると、「船影」は船の大小による差はあるものの日没後は徐々に見えにくくなりながら、薄明時間の1/2頃には完全に見えなくなり、また「船灯」については、マスト灯(視認距離6海里のもの)は日没後直ぐに視認されるものの、舷灯(視認距離3海里のもの)の方は薄明時間の1/2頃でないと視認できないという結果がでています。
「日没から薄明時間の1/2の頃まで」は、船影もはっきりしないうえに、船灯もよく見えないという見張りの盲点、危険時間帯であることを示しています。
同様に、朝の払暁時にも見張りの危険時間帯が存在していることにもなります。
3 見張りの注意事項
1] レーダーの活用
レーダーを必ず作動させ、目視では見えにくい小型船の船影などの発見に努めること。
2] 双眼鏡の活用
船舶用双眼鏡「7×50」のものは、薄暗がり、暗さの中では、船影などを裸眼よりも見えるようにする能力があるので、積極的に活用すること。
3] 小型船などへの注意
特に無灯火の船舶や波浪の中の小型漁船は見え難いので、このような船舶への注意を怠らないこと。
4] 暗転への注意
夕暮れ時は、その後の急速な暗闇への移行に意識が追随できなくなる恐れがあるので、明るい内に周辺状況をシッカリ確認しておくこと。