日本財団 図書館


2] ケミカルタンカー(198総トン)

平成9年4月、液体精製グリセリンを積載して大阪湾北部を航行中、小型船を避けるために大舵をとったところ、大きく傾斜しそのまま転覆した。(傾斜する傾向があった)死亡2名。

3] ケミカルタンカー(690総トン)

平成9年6月、プロピレンを満載して川崎港を出港し、航路を出たところで右に転舵したところ左に大きく傾き、ついに横倒し状態で沈没した。

老朽化で開いた船底の穴からの浸水を、ポンプ連結のパイプからの漏水と勘違いしてポンプを止め、その後の浸水を確認しないまま航行し転覆したもの。乗組員は全員救助。

4] 砂利運搬船(497総トン)

平成8年10月、捨て石1,300トンを積載し、鳴門海峡を航行中、潮流で急に傾いた際にガットが脱落して海中に落ち、積み荷の荷崩れを併発して転覆した。死亡3名、行方不明1名

2 事故防止対策

1] 気象状況を把握し、自船の能力と気象状況を勘案して大きな横波を受けるような危険な航行を避けること。状況によっては風待ちの避泊を行うこと。

2] 満載喫水を超えて貨物を過載せず乾舷を保ち、かつ復原性を確保すること。

3] 貨物の安定した積付けに努め、荷崩れ防止措置を確実に実施すること。

4] フェリーでは車両を確実に係止し「車輪止め」を確実に施すこと。

5] 航行中に横波が大きくなり危険を感じた場合は、針路を変えて動揺を押さえるとよい。

6] 砂利運搬船などクレーンを装備している船は、クレーンを甲板上まで下げ、ガットを固縛すること。

7] 航行中に船体が大きく傾斜する船は、早期に原因の調査を実施すること。また、積み荷の調整またはバラストの張水を行い復原性確保の措置をとること。

8] 船体の老朽化によるクラック、破口発生を防止するため、ドック時には十分な点検、整備を行っておくこと。

9] 潮流が早く複雑な流れをする水道を航行する場合は、船体が予想しない流れや傾斜を来すことがあるので、通狭時期、航行方法に注意すること

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION