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な] 慣れた航路(みち)に 落とし穴

 

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海上に限らずあらゆる職種で、仕事を能率的に確実にこなすには、しっかり頭で覚え、体に覚えさせることが重要です。しかし、自分がそれを体得したと思い自信を覚える頃から、注意力を失い漫然と作業を進めてしまいがちとなり、油断、手抜きから事故を引き起こしてしまうことがよくみられます。

特に慣れた「航路」では、そのような心配があります。

カーフェリーや一般旅客船は出入りする港と航路は定まっています。貨物船やタンカーについても、積み荷が固定されている船舶は出入りする港、航路がほぼ一定の毎度お馴染みの航海となっています。また、その他の貨物船なども、以前何回か入ったことのある港に入り、同じ航路を走るケースが多いことと思われます。

効率良く、安全に航海するための知識、技術を習得し、常にその維持、向上に努めることが重要です。とかく「慣れた海、何時もの航路、マイポート」というような航海では、マンネリ化してしまい、感覚的(山かん)航法になりがちです。

このため運航の「基本的事項」については、あなたが堅いと言われようが、愚直と言われようがしっかり守り、実行することが肝要です。

鉄道や地下鉄の乗務員や駅員が必ず指で前方を指し確認事項を声を出して言っていますね。あれは「指差喚呼(しさかんこ)」(「指差呼称」などの呼び方がある。)と言うものです。オーバーかなと思いますが、安全確認を「確実に」実施しているスタイルです。

船舶でもこのような意識をもって、海上のその場その時に安全のために必要とされる基本的事項を手抜きをせず、必ず「確認」し航行することが求められます。

 

 

 

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