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使用中の方式を間違って判断して事故を起こした船もあるので、いずれの方式か確認して使用すること。

4] 狭水道航行や暗岩などの浅所、定置網などの障害物の存在する海域を航行する場合は、適時、レーダーと海図などの資料との照合を行い、レーダー映像のみで安全の判断をしないこと。

5] レーダーで多数の映像をつかむ場合は、目視した船舶と映像上の船舶とが合わないことがあるので、十分に相互の確認をすること。

6] 霧等の視界不良時や夜間のみでなく、できるだけレーダーを使用することが望ましい。

太陽海面反射内の船舶、波間の小型船舶、接近する高速船の早期発見や複雑な地形、海面状況に応じた安全の確認、また気象急変への対応等で有効です。

2 ARPAレーダー使用上の注意事項

ARPAとは、Automatic Radar Plotting Aidsの頭文字をとったもので、直訳すれば「自動レーダープロッティング援助装置」ということです。

ARPAは、特に視界不良時の航海において目に見えない周辺の船舶の動静を自動的にプロッティングし、真針路、真速力や相対的な動きを容易に把握できるなど、多機能を有した操船者の安全運航を援助する「すぐれもの」です。

しかし、様々な機能を十分理解し、積極的に活用しなければ、いわゆる「宝の持ち腐れ」となり有効な援助を得られないことになります。

主な使用上の注意事項を記しましょう。

1] 機種によって機能、取り扱いが異なるので、自船の装備機器について説明書などを熟読・学習して、操作に習熟すること。

2] レーダーの映像を受けて追尾を行うので、レーダーの各種映像調整を適切に行い、映像の状態、調整具合を適時確認すること。

3] 激しい海面反射や激しい降雨雪の反射がある場合、また対象船舶同士が接近した場合など、追尾目標の乗り移りを生じることがあるので注意を要すること。

4] 他船の針路・速力のベクトル表示は、ある時間幅の平均計算によるので時間の遅れがあること、また他船の急激な変針や速力の急変には即応できないことを認識すること。

5] 自船の変針中は一時的に精度が低下すること、特に急激な変針を行うときは、全ての追尾中のターゲットに影響があらわれ、その復旧には1〜2分を要するを念頭に置いて、その間注意を要すること。

 

 

 

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