お父さんや息子さんが笑顔で入港するのを家族の皆は待っています。
漁船の海難は人命に係わるものが多く、海難に伴う死亡・行方不明者は92名で船舶全体の約6割を占めています。また船舶の海難によらない海中転落などによる乗船者の死亡・行方不明者は漁船が最も多く138名を数えています。
ひとたび海難を起こすと一家の働き手を失うという悲惨な結果を残しかねません。
1 全体的傾向
海難の推移をみると、漁船の海難は多少の凹凸はあるものの全体的には漸減傾向にありましたが、ここ1、2年増加の兆候がみられるのが気掛かりです。
2 海難の特徴
漁船海難の特徴の一つは、他に比べいろいろな海難が万遍なく発生していることで、海難の百貨店とも表現できましょう。
すなわち、衝突が21%、乗揚げ17%のほか、転覆が13%、機関故障が12%、火災10%、推進器障害5%、浸水4%など各種にわたり発生しています。
船舶海難の数では、漁船はプレジャーボート等に次いでNo2ですが、海難種類の内容についてみると、衝突では海難全体(319隻)のなかで漁船がNo1(147隻、46%)を占めています。また、乗揚げでも海難全体(332隻)のなかで漁船がNo1(107隻、32%)となっています。