誰もが安全運航の基本は「見張り」だと分かっていると思います。
それにもかかわらず、海難原因を見ると「見張不十分」がいつも1位、2位を争っています。
見張りさえしっかりしていれば、衝突、乗揚げの大半は防ぐことができます。
また、見張りを厳守するというその緊張感、注意力は自船全体への目配り、航海に必要な情報の把握にもつながります。“見張りさえしっかりしていれば船舶海難のほとんどは回避できる”といっても過言ではないでしょう。
安全運航の基本は「何たって見張りだ !」ということを肝に銘じてください。
海上衝突予防法の第5条には「船舶は、周囲の状況及び他の船舶との衝突のおそれについて十分に判断することができるように、視覚、聴覚及びその時の状況に適した他のすべての手段により、常時適切な見張りをしなければならない」と規定されています。
安全措置として見張りほど幅広く、奥深い内容を含んでいるものはありません。
人間の本性、弱さに触れるもの、多種の航海用機器類に係わるもの、千差万別の周辺状況に関係するもの、海上という特殊環境が影響するもの等々、見張りとは、これらを見ただけでも言うは易く実行はなかなか難しいものです。
しかし、阻害要因のひとつひとつを考えてみるとさ細なものであるため、往々にして問題を見過ごしがちで、それ故に、慣れと油断が生じ、山かんになり、手抜きをし、そして最も悪い居眠りまで誘うことになります。