日本財団 図書館


一方、外航船隻数で日本籍船と外国用船別にみますと、日本籍船の隻数は一九七〇年の約一、五〇〇隻から減少を続けて一九八〇年代後半からは日本籍船の便宜置籍船への転換などで大幅に減少し、一九九七年には一八〇隻余まで減少しております。その一方で外国用船の隻数は、一九七〇年は約五〇〇隻弱であったものが一九八〇年ごろまでに約一、三〇〇隻まで増加しました。

その後は、一時、第二次石油ショックの影響により約一、〇〇〇隻まで減少しましたが、一九八五年以降は日本籍船の減少に反比例して一九九七年には約一、八〇〇隻にまで増加し、合計隻数の大多数を占めるようになっています。

 

需要減少の原因(外因)は何か ?

 

法定備品でもある海図なのに、なぜこうも需要が落ち込んだのか ? むろんさまざまな原因が考えられますが、何が一番の原因かはおいそれと断定し難いのが海図の特性でもあります。

ユーザーの海図に対する評価ないし認識が「あれば何かの役に立つ」程度から「なければ困る」まで幅広く分かれているからです。前者に属するユーザーが、景気に左右されやすくて不況の折りには買い控える傾向にありますことは言をまちません。では肝心の後者、本来固定客とみなしてよいはずのユーザーは、今の時世、どう動いているのでしょうか ?

「海図なき航海」が、無謀、無策のたとえで、方針もなく場当たり的であることを誹謗(ひぼう)するときのマスコミの常とう語ともなっておりますように、航海に海図を持たないことは非常識のきわみと申さねばなりません。でありますように、海図の需要は減少の一途、止まる気配が見えません。もしや固定客までが・・・。

危機感を募らせた私どもは、昨年、改めて「海図市場調査」を依託の方法で実施しました。図1はその資料の一部ですが、海運界の構造的な変遷、端的に申せば特に外航船に乗り組む日本人船員の減少が日本版海図の売れ行き減少に直結している、との予測は見事なまでに裏付けられました。

 

図-2 海図の需要と内航船隻数の推移

011-1.gif

出典:内航近海なんでもデータ集

1] 100総トン以上の内航船

2] 年度末の値

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION