米国を初めとするほとんどの主要国においても、IMOで定められた様式をべースに質問状を作成し、自己申告に基づく回答を求めて、これを基にして各国主要海域への入域制限措置が行われることとなっています。
なお、具体的な手続き等については、海上保安庁のホームページ(http://www.kaiho.mlit.go.jp/)をご覧ください。
(注1) 特別警戒期間=外国船をも考慮して全世界の西暦二〇〇〇年一月一日の午前〇時を包含した時間帯を設定しています。その中でも、西暦二〇〇〇年一月一日の日本標準時の午前〇時と世界標準時の午前〇時(日本標準時の午前九時)が最も懸念される時刻です。
(注2) 二〇〇〇年問題に関する対策が不十分な船舶=例えば、システムの改修が必要であるにもかかわらず未改修であったり、適切な危機管理計画が策定されていない船舶。西暦一九九九年三月五日国際海事機関(IMO)回章文書第二一二一号を利用し、各船舶からの自己申告を基にして判断することとしています。
以下においては、この文書による指導等の内容をご紹介します。
(1) 二〇〇〇年問題に関する船舶の運航上の注意事項
1] 二〇〇〇年問題に関する対策が不十分な船舶については、海交法に定める航路、港則法に定める特定港等船舶交通が輻輳する海域の航行を避ける。
2] 異常が発生した場合に即応できる当直体制を執る。
3] 機器の作動状況について十分な監視を行う。
4] 船舶の航行に直接関係する機器(操舵装置、主機関等)に異常が発生した場合、直ちに非常対応の操作ができるように必要な準備をしておく。
5] マイクロチップ等が使用されている機器(例えば、自動操舵装置、電子海図、ジャイロコンパス)によらなくても運航できるように、必要な措置を講じておく。
6] 二〇〇〇年問題に関する想定訓練をしておく。
7] 付近を航行する船舶にも異常が発生する可能性があることを念頭におき他船の動向に十分注意する。
8] 緊急事態が発生した場合には、直ちに海上保安庁に連絡する。
(2) 二〇〇〇年問題に関する荷役上の注意事項
1] 二〇〇〇年問題に関する対策が不十分な荷役設備による荷役は避けるようにする。
2] 特に危険物荷役については、二〇〇〇年問題に関する対策が執られている場合であっても、予測できない事態の発生を考慮し、できる限り避ける。
3] やむを得ず危険物荷役をする際には、異常な事態に速やかに対応できるよう監視員の増員に努めるとともに、緊急時の対応として直ちに必要な措置が執れるよう十分な安全防災対策を講じる。
(3) 二〇〇〇年問題に関する対応が不十分な船舶に対する措置
1] 海交法に規定する航路への入航を避けるよう調整する。
2] 港則法に基づく港長への危険物の荷役許可申請、夜間入港の許可申請等に当たり、不許可処分等とする。
3] 危険物荷役については、船舶側に問題がない場合でも、ターミナル側が二〇〇〇年問題に十分に対応していないときには、不許可処分とする。
今回の措置は、危機管理の一環として、二〇〇〇年問題に関わるリスクの高い時間帯であっても、海上交通の安全を確保しつつ、船舶の円滑な航行を確保するための必要最小限の措置と考えておりますので、皆さまのご理解とご協力をお願いします。
また、二〇〇〇年問題に関する対応がなされているか否かの判断をする関係上、関係者の皆さまに、通常に加えて種々の書類の提出をお願いすることとなりますので、趣旨をご理解の上、ご協力をお願いいたします。
なお、年末年始におきましては、海上保安庁に、警備救難監を対策本部長とする「海上保安庁コンピュータ西暦二〇〇〇年問題対策本部」を設置して、二〇〇〇年問題に起因する海上事故の防止対策などに万全を期すこととしています。