日本財団 図書館


(3) 航行の安全に影響を及ぼす欠陥を有するすべての船舶はフィリップ水路およびシンガポール海峡に進入する前に、当該欠陥事項を除去する適切な手段を講じなければならない。

(4) 分離通航方式の通航路を進航する船舶は、警戒水域に接近するときは付近の警報システムに留意し、かつ同規則第一八条(d)の規定に従わねばならず、また、喫水制限船にあって同規則第二八条に定める灯火または、形象物を表示し、当該警戒水域を横断しなければならないものの安全な通航を妨げてはならない。

(5) マラッカ海峡およびシンガポール海峡を通航するVLCCおよび深喫水船は、安全かつ実行可能な限り、次の水域においては安全で可能な限り対地速力一二ノット以下の速力で航行しなければならない。

1] 分離通航方式ワン・ファザム・バンク

2] フィリップ水路およびシンガポール海峡におよび深水深航路

3] 01-12.5N、103-52.25Eと01-11.59Nと103-50.31Eの間および01-11.13N、103-49.18Eと01-08.65N、103-44.40Eの間の西航船用通航路

(6) VHF無線通信設備を備えた船舶は、IMOが採択した船舶通報制度への参加を義務付けられる。

(7) マラッカ海峡およびシンガポール海峡を通航するVLCCおよび深喫水船は、同海峡(分離通航帯)に入航する八時間前に、必要とされる航海情報を通報するよう勧告される。これは、NAVTEXにより各船に周知されている。

 

009-1.gif

並び建つ新旧二つのワン・ファザム・バンク灯台

(向かって右側が新灯台)

 

3 導入後の状況

 

3.1 交通流

マラッカ・シンガポール海峡全域にわたり、交通が整流されたので、分離通航帯内では、大型船は一般的な交通流の方向に航行しており、行き会い関係等は見られなくなったが、横切り船については、主に警戒水域において、ときには警戒水域以外の水域でもみられる。

また、沿岸通航帯を通航する小型船との間に見合い関係が生ずることもある。中には通航帯を逆航する等のルール無視の船もあるので、注意を要する。

3.2 通報の状況

(1) 入域から出域までVTS機関(クランVTS、ジョホールVTS、シンガポールVTS)がレーダーで船舶を追跡し、船位に関する情報、衝突のおそれに関する情報等を提供していて、航海者としては大変ありがたく、かつ海難防止に大変役立つものであると考える。

例えば

・本船が満載で深水深航路を通航中、漁船避航のため、航路筋の左側に寄ったところ、すぐシンガポールVISより船位をチエックするよう注意された。

・衝突のおそれのある船舶についての情報も、その都度情報を提供してくれる。

(2) VTISはいつも忙しく、なかなかコンタクト出来なかったがVTSになってからは、極めて簡単にコンタクトでき、必要な情報を得ることができるようになった。また、本船付近の視界の状況についても、フランクに聞いてきて、他船に知らせている。

3.3 航行支援設備

今回のSTRAITREPが開始されたためかどうかは不明であるが、マラッカ・シンガポール海峡全域にわたる航行支援設備がよくなってきたと感じる。

 

4 今後の問題点

 

今回の一連の措置により、交通環境はかなり整備されたと考えられるが、依然、次のような問題点をあげることができる。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION