このような結果から、運輸省において「漁船『新生丸』海難事故問題対策調査検討会」が開催され、海難に関する情報入手時から捜索救助活動の実施に至るまでの一連の救難活動を、より迅速かつ的確に実施するための方策が総合的に検討され、平成十一年三月二十六日に同検討会報告書として取りまとめられた。
海上保安庁では、同報告書に基づき、海上保安庁が船舶との直接連絡または航空機等による直接確認により誤発射か否かの判断を行うこと等、救難活動の改善策を講じ、GMDSS体制下における捜索救助体制を強化することとした。
プレジャーボートの海難
平成十年の全要救助船舶は一、七二六隻で七、八四〇人が海難に遭遇し、このうちプレジャーボート等の海難隻数は七三六隻で二、一三三人が海難に遭遇した。また全要救助船舶の死亡・行方不明者(以下「死亡者等」という。)は一五七人で、このうちプレジャーボート等に係る死亡者等は二九人となっている。
なお、年変動が大きい台風および異常気象下の海難を除くと平成十年は七〇一隻であり、その状況は次のとおりとなっている。
船型別に見ると、モーターボートが最も多く、次いでヨット、遊漁船、手漕ぎボート、水上オートバイの順となっている。
海難種類別に見ると、機関故障が最も多く、次いで衝突、乗揚げ、推進器障害となっている。
また、船型別に海難種類を見ると、最も海難隻数の多いモーターボートでは、機関故障が最も多く、次いで衝突、推進器障害となっている。
海難原因別に見ると、見張り不十分、操船不適切、気象・海象に対する注意不足、機関取扱不良等の人為的要因に起因するものが七九%(プレジャーボート等以外六九%)を占めている。
次に、プレジャーボート等の海難のうち、主要な海難種類別の原因をみると、最も多い機関故障については、機関整備不良、機関取扱不注意の順となっている。
以上のように、プレジャーボート等の海難の原因を分析してみると、機関取扱不良、気象・海象に対する注意不足および見張り不十分などの運航のための初歩的な知識・技能の不足や不注意に起因する海難が大半を占めている。
海洋レジャー関係者に対する安全指導等
海上保安庁で、マリーナ等への訪問による安全指導に加え、海難防止強調運動を展開し、愛好者を対象に海難防止思想の普及、高揚を図っている。さらに、全国各地において小型船舶の安全に関するビデオ、スライド等の教材を活用した海難防止講習会および海上安全教室、訓練等を開催し、安全に対する知識技能の向上等を図っている。