・漁船「E丸」(二七〇トン、九人乗船)は、東シナ海を航行中船内の火災警報器が鳴り機関室で当直中の機関長が主機関インタークーラ付近で炎が上がっているのを発見したが、消火器による消火が困難であったことから、機関室の密閉消火を行い鎮火させた。鎮火後火災原因を調査した結果、主機関インタークーラ付近の燃料こし器空気抜きボルトが脱落しており、同部から燃料が噴霧されテストコック等加熱部で発火、延焼したものと推定された。
また、漁船保険中央会の調査結果によれば、機関の主要部品であるシリンダヘッド、シリンダライナ、ピストン、クランク軸、タービンの事故件数が多いようであり、保守点検を疎かにしたために起こった機関事故の事例は枚挙にいとまがありませんが、漁船保険中央会のご厚意により事例の一部を写真で紹介します。
機関故障を防ぐためにはメンテナンスの励行
機関事故の原因は、その半数近くが冷却水と潤滑油の不具合によるものといわれています。また、使用年数が長くなっていることから、部品の摩耗や材質の疲労が原因と考えられる事故も増えているようです。
このため、機関事故を防ぐためには定期的に保守点検を励行することが必要となってきます。エンジントラブルの損傷復旧については、経年変化による損耗を除けば、漁船保険で損傷部分についてはある程度カバーされますが、大事な時期に漁労操業が出来なかったり、事故を起こして僚船に迷惑をかけたりします。
機関の日常点検は、漁業者の方々が機関始動前に燃料および燃料こし器、L.O.冷却水こし器、バッテリー、Vベルト等の点検を行い、始動後は冷却水排出状態、排気色、異常音、冷却水温度、L.O.温度等をチェックすることを励行することで、安全を確保する習慣付けが必要なことです。