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当初、土佐清水市にある漁協のうち、清水漁協で調査が行われたが、この地区では対象の魚種および漁法が多様なこと、メジカ以外に立縄漁法による有名な清水サバやカツオなどを対象にし、船型も多岐にわたっていること、船尾魚倉の浅いものが多いことなどから魚倉のコンテナ化には賛成が得られなかった。

これに対して下ノ加江地区では、加入船中、沖合のメジカ一本釣りに約七〇隻の漁船が稼働していて、船尾の魚倉も深く、コンテナ化が導入しやすい状況にあった。

併せて、鮮度保持用に角氷が使われていたのを、腰痛防止などの理由で海水冷却装置の導入が進んでいたので、この地区でコンテナ化の検討を進めることになった。

平成四年度から、水産庁実証化事業で実際に漁船に使用してもらい、その効果を確認することになった。このときコンテナを試験的に導入した船長(ふなおさ)さんのことが話になり、船長さんにお願いして試験を実施することになった。

3、 コンテナ化への経過

下ノ加江地区では漁獲物陸揚げの省力化を図るため五〇〇キロホイストが一三基導入されていた。しかし、魚倉からタモで漁獲物を甲板上の七〇キロ籠に移す作業が大変で、籠に一杯にするのにタモすくいを大体一〇回程度行う必要があった。籠に移し終わったところでホイストを使って籠を岸壁に揚げ、並べた順番に秤を吊るした棒を漁業者二人で持ち、一トンコンテナに漁獲物を移してやっと荷揚げ作業が終わるのだった。

メジカの最盛期になると漁獲物の荷揚げが終わり、漁協職員と立会いで計量を完了するまでかなりの時間を要し、遅い場合は帰宅するのが夜中になってしまった。

こうした荷揚げ作業を合理化するには、コンテナ化がもっとも合理的と考えられた。

コンテナを統一するには船あるいは魚倉を統一化する必要があるが、実際問題それは不可能だ。幸いコンピューターの進歩が目ざましく、漁協所属船のコンテナごとの情報を記憶させておくことが容易になっていた。そこで、漁獲量の計測、データの漁協伝票処理への連結利用もコンピューターに受け持たせるようにすれば、船型やコンテナの統一の必要はなく、一石二鳥であると考えられた。

 

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写真1 タモでメジカを魚庫から70キロ籠へ

 

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写真2 ホイストで70キロ籠を岸壁に荷揚げ

 

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写真3 二人で秤をかつぎ計量(読み取りと記録が必要)

 

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写真4 岸壁の1トンコンテナにメジカを集荷

 

4、 実証化試験

まず、モデル船に船長(ふなおさ)さんの船を選定して、魚倉の改造、コンテナの制作を行うとともに、計量装置、データ表示装置およびデータ処理用のコンピュータソフトなどの制作を行った。

 

 

 

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