この外に梹榔(びんろう・ヤシ科常緑高木)の木のようなものも見受けられました。
こちらへ切って持ち帰った木は、棕櫚の木に似ております。この木の類は、本口で一抱えほど、長さは二、三十尋(三〇〜四五メートル)もあるように見受けられました。その中では小さい部類の木で、幹の周囲が一尺四、五寸(四二〜四五センチメートル)ほどのものを、長さ一丈(三メートル)強に切って、こちらへ二本持ち帰りました。これらの棕櫚に似た樹木類は、いずれも沢山に生えております。
先に申し述べました周囲十七、八里の島には、一町(三、○○○坪)、二町(六、○○○坪)ほどの広さの平地が二個所ございます。そこには、葦がたくさんに生えております。
島々には、それぞれ谷があり、水が豊富に流れ落ちております。また、山石や海石が大小数多くございます。その外に、朱色の石がございます。これは大きな石ではございません。また、これらの島の周辺では、魚鳥はいろいろ見受けましたが、獣類は見当たりませんでした。以上
補遺商人長兵衛口書
無人島群の様子
周囲が十七、八里(六七〜七一キロメートル)ある一つの島、十四、五里(五五〜五九キロメートル)ある三つの島、これらの四つの島には、大船もつながることが可能な港が、十二個所づつあります。