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3]操作指令

見張りを中断することなく指令できるよう、音声指令ができる。なお、誤指令や誤認識を防ぐために次のようなプロセスで指令は実行される。

・当直者による音声指令

・システムによる指令内容の復唱および確認要求

・当直者による確認(音声あるいはタッチパネル)

・システムによる指令の実行

・システムからの指令実行に伴う状態変化の報告

・システムからの実行完了報告

 

図1 OPBOシステム構成図

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五、OPBOシステムを使った船舶運航

 

新ぷろぱん丸に搭載されたOPBOシステムを使って、運航者によるシステムの有用性、当直時の負担の増減等について調査し、次のような結果を得ることができた。

1 音声入出力機能

音声支援の導入に対して最初、運航者はあまり評価していなかった。しかし音声認識への学習機能の導入等により認識率を向上させたこともあり、音声による航行状況定時報告、航行状況・環境の問い合わせと応答、変針事前報告、当直交代情報提供等に慣れ親しんだ。これによりOPBOシステムの目指した、運航者の見張りへの専念を可能とし、運航者に音声がなければOPBOシステムの機能は半減するとまで言わせるようになった。

2 情報収集表示機能

自船の状態把握について従来の方法とOPBOシステムを比較評価したところ、問い合わせや定時報告で報告を受けられる上、画面上にも常に表示されており、必要な情報がいつでも容易に取得できると評価された。また、航行環境の把握についても同様の比較評価を行い、ほぼ計画どおり改善されていることがわかった。ただし航行環境の把握に対する要求レベルは高く、OPBOシステムでもまだ十分とは評価されなかった。

しかし、例えば遭遇他船の補足や追尾などへの要求は、OPBOシステムとしてよりも、システムに組み込むセンサーや機器の性能限界に寄るところが大きい。

3 行動決定補佐機能

航行支援の観点から、従来の方法とOPBOシステムを比較評価した。その結果、システムの導入により全面的に改善効果が認められた。特に航路航行については最高の評価を得ることができ、この分野の支援が十分であることが判った。一方、避航方法などの高度な支援についてはレーダ/ARPAの限界、設定パラメータの不慣れ等の影響もあり、支援内容については、従来より改善されていると評価されたとはいえ、多少の減点が見られた。

4 行動実施機能

操船、すなわち針路・速力の制御については、航海計画に基づく航路保持、避航航路の実行、音声による操船指令とその実行、オーバーライドによる操船等について調べた結果、運航者にとって満足できるものであった。

5 就労監視機能

システムの故障についてはシステム側からの通報という形で行われるが、運航者側に問題があった場合の対応については就労監視機能を組み込んだ。この機能の動作、すなわち就労異常自動判定と警報、就労異常延長警報、就労異常自動減速を確認した。

 

 

 

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