危険物等取扱責任者の資格更新について
船員災害防止協会
一、五年の更新
危険物をばら積み運送する船舶(三種類のタンカー、後述)に乗船する船長・一等航海士及び機関長・一等機関士並びにこれらに相当する運航士は危険物等取扱責任者の資格が必要要件であることが船員法(船員法施行規則)で定められています。その危険物等取扱責任者の資格に五年の有効期限が海技免状と同じように設定されました。有効期限の起算日は、平成八年九月一日以前に取得された人は平成十三年八月三十一日が更新期限となります。それ以降に取得された人は資格取得から五年(講習終了日より五年)で更新期限となります。
二、背景
わが国では、昭和四十三年の京浜運河にて発生した内航タンカーの爆発事故がきっかけとなり、当時の船員局長通達により、タンカーの乗組員を対象に「船員労働安全衛生規則」に基づき、タンカーの安全講習が開始されました。
また、世界的には、一九五七年に英国のセブンロックスにて発生した、かの有名な「トリーキャニオン号」の事故をはじめとして、十数年にわたり、大型タンカーの事故が多発したため、タンカーに乗船する乗組員の資格、教育・訓練に関して、一九七八年にはIMCO(現IMO)が勧告を出しました。これを受け、STCW条約一九七八が制定れ、国際条約レべルにてタンカーに乗船する乗組員の資格が定められました。
このように、わが国は、世界レベルよりも早い時期にタンカーの講習を始めたわけですが、昭和五十八年に船員法施行規則がSTCW条約の批准に伴い、改正され世界レベルの対応になりました。
一九九五年にSTCW条約の船員の資格、教育・訓練項目に関して、より習熟性の高いものが必要であるとの見地より改正され、危険物等取扱責任者の有効期限が五年に改められ、これに関連して船員法施行規則が改正されました。
三、危険物をばら積み運送する三種類のタンカーとは
1]石油タンカー
2]液体化学薬品タンカー
3]液化ガスタンカー
四、危険物等取扱責任者の種類
1]石油タンカーのみ
2]液体化学薬品タンカー
3]液化ガスタンカーの三種類を包含するもの
五、資格更新の要件
I、資格有効期間の五年間で一年以上の実船実歴が必要、具体的には
1]石油タンカーのみの資格者は、石油タンカーの一年以上の実歴が必要となります。