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二八ノット以上の出現率は東シナ海南部で一〇〜二〇%です。特に台湾近海では二〇%になり、五日に一日は海上風警報基準以上の風が吹いています。

波は北緯二八度以南では二〜二・五メートルで最も波の高い季節です。特に台湾近海では二・五メートル前後です。東シナ海北部から黄海では一・五〜二メートルです。三メートル以上の出現率は東シナ海北部で一〇〜一五%、東シナ海南部では二五〜三〇%です。

【冬(二月)】

図3、4に二月の月平均の風速(単位はノット)と波高(単位はメートル)の分布図を示します。

風速は季節風の吹き出しのためチェジュ島近海から九州西方海域、東シナ海南部で一六〜一九ノットです。北緯三〇度以北では最も風の強い季節です。

二八ノット以上の出現率は東シナ海および黄海の大陸側を除いて一〇〜二〇%です。東シナ海では一週間に一日程度は海上風警報基準以上の強い風が吹いています。

 

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図3 2月の月平均の風速の分布図

(単位はノット、矢印は平均の風向)

 

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図4 2月の月平均の波高の分布図

(単位はメートル)

 

波は東シナ海および黄海の大陸側を除いた全域で二メートルです。特に冬の特徴として、東シナ海南部で二・二メートル前後と最も高いことです。

これは北よりの季節風により、この海域では吹走距離、吹続時間とも大きくなり、波が発達する条件がそろっているためと考えられます。三メートル以上の出現率は東シナ海で一五〜三〇%、特に東シナ海南部では二五〜三〇%です。

 

おわりに

 

海上の船舶からの貴重な観測データは、ブイや衛星による観測が広く利用されている今日でも、天気図解析や予警報の発表に欠かせない重要なものとなっています。また、これらのデータの長年にわたる蓄積は、今回示したような海域の気候の特徴を把握するのに活用されるとともに、気候変動をはじめとする地球規模の環境問題の解明にも重要な役割を果たしています。

貴重な観測データを送って下さっている関係者の方々に感謝するとともに、気象観測の重要性をご理解の上、これからもご協力をお願いします。

 

 

 

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