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十八時二十分半ごろ甲機関長は、第一号、第二号両灯浮標間で、糸満漁港の第二防波堤東端(以下「防波堤東端」という。)から二四一度一、七〇〇メートルばかりの地点に至り、針路を第三号、第四号両灯浮標間の中央よりやや左方に向く〇六三度に転じ、十八時二十七分半ごろ防波堤東端から二四〇度一、〇六〇メートルばかりの水路屈曲部で、第三号灯浮標を左舷側約八○メートルに航過したとき、第五号、第六号両灯浮標間に向かう〇七三度に転針して舵を戻したが、遠隔管制器の操作ノブが舵中央の位置よりわずかに左舷に偏った位置に止まった状態になっていることに気付かなかった。

甲機関長は、薄明時の明るさと背後の街の明かりに紛れて転針後の船首方向の目標となる、第五号、第六号の両灯浮標もその灯火も認めることができなかったが、西水路から逸脱することのないよう、コンパスを見るなどして針路を保持することなく、両灯浮標を探すことに気をとられ、舵が左舵に偏り船首が徐々に左方に回頭していることに気付かないまま続航中、十八時三十分防波堤東端から二四二度八三〇メートルばかりの地点において、ほぼ〇四〇度に向首した状態で、原速力のまま浅礁に乗り揚げた。

乗揚の結果、船底中央部に破口を生じて機関室に浸水し、機関に濡損を生じたが、タグボートによって引き降ろされ、のち修理された。

 

海難原因

 

薄明時、沖縄県糸満漁港において、西水路をこれに沿う針路で入航中、針路の保持が十分でなく、船首が徐々に偏向して浅礁に向け進行したことに因って発生したものである。

 

留意事項

 

両側に浅礁のある狭い水路を航行する際は、コンパスを確かめるなどして設定した針路の保持に努めること。

 

参考図

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