船種別では、漁船が最も多く、貨物船、旅客船およびレジャー船、引船等、油送船の順となっている。
6]気象・海象に対する配慮不十分
八六一隻中二七隻(三・一)について「気象・海象に対する配慮不十分」が、海難原因として指摘されている。
7]服務に関する不適正
八六一隻中八五隻(九・九)について指摘されているが、船長の服務に関する指揮・監督が不適切であったことが主たる原因として指摘されている一隻を除き、他のすべては、船内要因として、船長および当直者等の服務が適切でなかったことにも原因があるとされたものである。
船種別では、貨物船が最も多く、漁船、油送船、旅客船、レジャー船および引船等の順となっている。「服務の不適正」として指摘された海難原因の内訳は、船長の指揮・監督等に原因があるとされたもの二一件、当直者の報告・引き継ぎ等に原因があるとされたもの六件、船長、当直者両者に原因があるとされたもの五七件となっている。
受審人および指定海難関係人の状況
海難審判に係る受審人および指定海難関係人の指定および懲戒等の状況は、受審人九一〇人、指定海難関係人一〇一人が指定されている。
これを職名別にみると、受審人では、船長が八〇二人(八八・一)と圧倒的に多く、次いで一等航海士五六(六・二)となっており、また、指定海難関係人では甲板員が三二人(三一・七)と最も多く、次いで機関長一三(一二・九)等となっている。
また、懲戒等の状況は、懲戒の裁決を受けた者が八七〇人(九五・六%)で、その内訳は、業務停止一六四人、戒告七〇六人となっており、受審人の所為が海難発生の原因とならないとされ不懲戒となった者が三八人、また、戒告裁決であるところ、その懲戒を免除された者が二人となっている。指定海難関係人に指定された一〇一人のうち、その所為が海難発生の原因となるとされた者は八二人となったが、勧告された者はいなかった。
防止策への提言
今回の調査・分析によって明らかになった最近五年間における乗揚海難の原因をみると、依然として、自船の船位を十分に確認しなかったことによる「船位不確認」航行中に船橋当直者が居眠りしたことによる「居眠り運航」および水路の調査を十分に行わなかったことによる「水路調査不十分」とこれら三原因による海難が全体の約六五%を占めている。
海難の原因については、その大部分が操船者に係る人為的要因が絡んだものとなっており、これまでにも海難審判庁は数々の「海難の実態」の中で、これらの防止策の提言を行ってきたが、今回も「乗揚海難」の再発防止に資するため、次の提言を行う。