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第二話

 

久里浜沖アシカ島と称する無人灯台のある所は、東京湾内部から湾外に出る船は知っている人がほとんどと思いますが、アシカ島の沖の航路標識とブイとの間の暗岩は、危険な場所として地元船や多くの船もさけて通ります。高速で満潮だと通りぬける小さな船があります。

座礁するだけでなく浸水すると、大事故になる危険な場所として定置網同様、要注意していただきたいと思います。

 

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救助要請を受け出動するBANの“湘南”

 

第三話

 

救助要請を受けて出港したら霧のため、視界〇・三マイル、しかも被救助船はGPSを積んでいないため、霧が弱まるまでは捜索に時間がかかると覚悟して出航しました。

微風と潮の流れから本船航路まで流されない内と急いで現場付近についたが、レーダーでは船種まで分かりませんし、釣り船船団も少なく心配していたとおり、相手方も陸岸の方位も分からず、かろうじて推定した三点法にて海図に書き込み、推定位置に移動中に当該船のそばに来た釣り船の電話で位置を確認し、霧が晴れ視界が段々よくなり、推定位置と大差なく会合、無事に作業終了しました。

最近のGPSは精度も上がり誤差も数メートルと性能も良くなり、カシオの腕時計タイプのものは数万円で購入できるものもあります。ボートオーナーたる者、少なくとも腕時計タイプGPSと携帯電話のスペアバッテリー位は、ライフジャケットと同じ感覚で用意していただきたいと思います。

また、霧の時は出航を控える心構えも肝要だと感じました。

 

第四話

 

久里浜〜金谷間に定期フェリーが横断しています。以外と船速は早く一二〜一四マイルでアシカ島付近で上下のフェリーが行き交います。

ある日、剱崎方面から小型船を曳航し浦賀ヴラシスに向かっている時、右航から久里浜に入港するフェリーを確認したので、出る船はと眼を転ずれば出航した大型フェリーが、微速で当船に進路をあけているではありませんか、当船の黒球二個(運航不自由船)と黄色点滅灯とBANの旗を確認し、牽引状況をみて避航しているのを確認しました。

大型定期客船といえど、小型の運転不自由船を避航するのは当然かも知れませんが、何となく感謝の気持ちで手を上げてしまいました。もちろん視認できる距離でなかったのですが、当直航海士は信号識別の知識がありますが、はたして小型船舶操縦士の免許所持者の何人が識別信号や灯火をすべてを認識しているのでしょうか?知らない人が意外と多いのではないかと思います。

一級免許を持っている人でNC旗やダイバー旗を知らない人もいました。浮灯と掲揚識別信号はぜひ覚えて欲しいと思います。

安全のためには、常に初心に戻って事前に注意し、整備や操船での万全を心がけ、楽しい休日を過ごされるように心から祈願する次第です。

 

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楽しいセーリングにも危険がいっぱい

 

 

 

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