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山本 まだヨット歴の浅い友人が「ブイ回りをチェックして走った」といっていましたので、よい経験をしていると励ましました。しかしメモはしていないと思いますが。

漁港に入港するときやそばを通るときは漁船がその港に出入りするところをよく見るようにしています。記録まではしていませんが。

菅野 モーターボートやヨットの場合の船位確認は、ほとんど経験に基づく目視だと思います。ですから、ちょっとの判断ミスが座礁などの事故につながります。自分の行動範囲の略図とか海図のコピーに目標とか危険箇所を書いた「自分図」とでもいいますかそのようなものを作り手元に置くことをお勧めします。

行動海域はある程度決まっているでしょうから、一度作成すればいつも活用でき便利です。

根本 調査といえば、私は時化のとき、よく車で海の様子を見にいくのです。そうするとどこに岩があって、どういう入り方をしなければいけないかが分かります。

先週も千葉県保田に行って干潮時の岩の出方などを見てきました。保田にはよく入りますので……。

菅野 記録はとるのですか。

根本 記録しませんが、何回も行くと頭の中に残りますから、何かで避難する場合、どうのように行動すればよいかが分かります。

菅野 前に言いましたようにせっかく調べたのですから記憶より記録ですよ。あの長嶋監督は記録より記憶に残る人だそうですが(笑)、野球と海は別です。必ず記録して自分図、自分ノートを作ってほしいですね。そのようなものをつくるのは案外楽しいものですよ。

 

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根本武二(ねもとたけじ)氏

昭和13年生まれ 会社員

所有艇:モーターボート/ニッサンクルーズ730(定員8)

横浜ベイサイドマリーナの「横浜フィッシングクラブ」会長。

同クラブを中心に安全運航・技術・マナーの指導に努めている。

 

気象・海象の把握

 

菅野 プレジャーボートのような小型船の安全運航には、気象や海象が非常に大事だと思いますが。

山本 私は海へ出る三日前から天気予報に注意し、全体の動きを見ます。しかし航行しているときは主として観天望気ですね。

根本 私のボートは小さいですが、バロメーターは付いてますので、気圧変化をみます。横浜マーチスや漁業無線局の気象放送を聞きますし、漁業無線の定時予報も必ず聞きます。

また、天候が変だと思ったら電話の一一七番で予報を聞き三崎漁業無線局に現況を聞いて判断します。

菅野 根本さんはそれだけ慎重ですと言うことなしですね。一般のボートはどうでしょうか。

山本 ラジオは積んでいてもカセットテープで音楽を聞いているのが多いようです。海上で気象把握に努めている人は少ないのではないでしょうか。天気が悪くなって初めて帰港するようでは危ないですね。

菅野 気象情報を提供するところはいっぱいあります。ラジオ、テレビをはじめ気象庁も海上保安庁も情報を流しております。プレジャーボートの方々には、自分に合ったものを選んで出港前はもとより海上でも必ず予報を聞いてほしいですね。

根本 しかし、東京マーチスも船舶気象通報も現況のみです。三崎の漁業無線局は予報も放送しているのですが、二七メガの受信機を持っているボートは極めて少ないのです。ですから東京マーチスが予報を取り入れてくれると小型船には役立つと思います。

 

 

 

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