海図を所有している艇は一七一隻(七二%)で、日本水路協会発行のヨット・モーターボート用参考図一五四隻(六五%)、関東小型船安全協会発行の東京湾案内図五六隻(二四%)等がかなり所有されており、狭い艇内で利用しやすいこの種の参考図の最新版の刊行が望まれます。
四、ヒヤリハット事例
ヒヤリ・ハットした経験は、モーターボートから五六事例、ヨットから三〇事例、計八六事例の報告がありました。
いつ、どこで、相手船の大きさ等を具体的に記入された事例が少なくて統計処理には馴染みませんが、あえて集計すると次のようになっています。
a、他船等に異常に接近した
五九事例 六九%
b、追い波(航走波)による転覆や転落の危険があった
六事例 七%
c、絡網したが除去できたり、漁業施設に入ったが脱出できた
七事例 八%
d、底触、座礁の危険があった
二事例 二%
e、その他
一二事例 一四%
aの他船等に異常に接近した五九事例について、相手船の種別をみると次のようになっています。

委員会では、大型船からみるとプレジャーボート等の小型船は、至近距離になるまでなかなか避航しないという意見もありました。
大型船と小型船とでは危険予知に対する感覚に差があるように思われます。
対策と提言
当委員会では問題点を種々検討して、次のようなプレジャーボートに対する安全対策と提言を取りまとめました。
なお、末尾の「安全運航十則」も活用していただければ幸いです。
一、大型船の運航実態を知る
大型船の操船の困難性、視界の制限等の現状を認識するため、プレジャーボート関係者に対する体験乗船の機会をできるだけ多く設けるとともに、各種の安全講習会には大型船の船長等を講師として招へいし、大型船とプレジャーボート関係者との話し合いの場を計画する。