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二、法定航路およびその周辺海域における交通の実態把握

通航船の状況、時刻別の交通実態、航路標識、魚網の設置状況等の資料を入手し、さらに、新たに設置された中ノ瀬西側の整流区域等重要なものについては最新の情報を補充する。

三、早めの避航

大型船等と見合い関係になった場合には早めに避航措置をとり、自船の動静をはっきりさせることが相手船に操船上の安心を与えることになる。このことを常に心がけておく必要がある。

四、大型船との異常接近を避ける

プレジャーボートからみて大型船は遠くをゆっくり走っているように見えるが、実際は相当な速さで航走しており、いつの間にか異常接近するケースが多いことから、特に見張りを厳重にする。

五、大型船との通信連絡の確保

大型船とプレジャーボートとの通信連絡は、マリンVHF(CH一六)のみである。装備するプレジャーボートは常時聴取することが望ましい。

六、海難事故例から学ぶ

プレジャーボートの海難が急増しているが、その大半が機関故障と推進器障害である。

航路等船舶が輻輳する海域でこのような事故が起きれば、大型船は、小回り、急停止がきかず、非常に危険が伴う。機関の整備については運航者自身が日ごろから注意し、出港前点検を励行する。

七、気象情報・安全情報の入手

情報は多岐にわたり入手先も多様化している。出港前に十分収集し、放送時間、周波数等も調査して海上でも最新の情報を確保する。

マリーナ等では、情報の入手先等について指導する。

八、安全指導の推進

プレジャーボート運航者の海上での経験不足は否めない。輻輳海域では、その実態にあった安全な運航が求められるので、適当な団体等に入会して組織を通じて効果的な指導を受けることが望ましい。

 

おわりに

 

プレジャーボートの海難防止を考える場合、情報伝達網の未整備な部分が大きいことが問題です。マリーナ等に所属していない運航者にいかにしてその必要性を伝え、理解して貰えるかが肝要であると改めて痛感しているところであります。

プレジャーボートは、運航に関する知識や海についての考え方が違ういろいろな人々によって運航されるものであり、日ごろの疲れをいやしリラックスして楽しむという状況の中で運航されます。しかし定係地を一旦出港した場合、東京湾の各航路等は各種の船舶が輻輳し、一定の規制がなされています。

したがって、そこに定められた海上交通ルールは絶対に守らなければなりませんし、また他船に迷惑をかけるような運航者として常識的な最低限のマナーは心得ておかなければなりません。

なお、当調査研究で取り上げられた問題とその対策は全国の他の海域にも共通のものが大半であり、参考にしていただければ幸いです。

当協会としても、今後ともあらゆる機会をとらえてプレジャーボートの海難防止に努めていきたいと考えています。

 

【安全運航十則】

一 見ましょ天気図・聞きましょ警報

二 出港(でる)前点検・ガス欠防止

三 安全運航、見張りが基本・船も漁網も油断なく

四 守れ・気配れ、ルールとマナー

五 スピード考え・早めの避航、大型船への思いやり

六 航海機器(きき)・図誌活用・やま感防止

七 荒天・霧中は無理厳禁

八 連絡手段(れんらく)確保、予定知らせ

九 灯火の表示・信号の励行

十 常時着用、安全ベストの救命衣

 

 

 

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