プレジャーボートの安全運航のために
−東京湾における調査研究から−
財団法人 日本海洋レジャー安全・振興協会
はじめに
当協会では平成十年度に、東京湾の浦賀水道航路、中ノ瀬航路および周辺海域におけるプレジャーボートの安全運航に関する調査研究のため、水先人、マリーナ関係者等からなる委員会を設置し、モーターボートおよびヨットを主な対象としてアンケートを実施、その結果をもとに対策を検討、本年三月に報告書にとりまとめましたので、その概要を紹介します。
アンケート調査の結果
アンケートは平成十年八月五〇〇部を配付し、二四二通の回報がありました。
一、使用艇について
モーターボート一六八隻、機関を有するヨット七二隻、その他二隻、計二四二隻から回答がありました。
艇の長さ五メートル未満が四隻(二%)、五から八メートルが一一五隻(四八%)、八から一〇メートルが七一隻(二九%)、一〇メートル以上が五二隻(二一%)で一〇メートル未満が七九%を占めています。
速力は一〇ノット未満が七五隻(三一%)、一〇から二〇ノットが五九隻(二五%)、二〇ノット以上が一〇六隻(四四%)で、一〇ノット未満の艇はほとんどがヨットです。
搭載している航海計器等は図のとおりです。(複数回答)
二、運航関係
海技資格は外洋航行ができる一級小型船舶操縦士が一四七人(六一%)、二級三人、四級が九二人(三八%)で、半数以上の一二七人(五三%)が海上経験十年以上のべテランでした。
運航の目的は、クルージング一八五人(七六%)、フィッシング一四二人(五九%)、ボートダイビング一〇人(四%)などで、ヨットでは、レース、セーリング等もありました。(複数回答)
主な活動海域についてのアンケート結果を大まかに区分して集計してみますと、下図のように、横浜沖が最も多く、次いで浦賀水道周辺となっています。
三、情報関係
気象情報の入手先については、テレビ、ラジオの利用が多いのは当然ですが、出港前にマリナー等の情報を利用する人が一五七人(六五%)のほかテレホンサービスも九三人(三九%)で利用されています。(複数回答)
東京湾の気象現況を知るとともに変化を予測するためには、東京湾海上交通センター(東京一三号地、本牧、観音崎、劔崎、洲崎、伊豆大島風早埼の現況)に加え、下田(御前崎、石廊崎、伊豆大島、神子元島。神津島の現況)のテレホンサービスの利用が有効です。なお、三浦市の神奈川県水産総合研究所海洋情報部にもテレホンサービスがあります。
航路情報の入手先についてもマリナー等からが当然多く、一七〇人(七一%)で、東京湾海上交通センターからは二七人(一一%)、入手しない人も三七人(一五%)ありました。(複数回答)