日本財団 図書館


特集 プレジャーボート

 

プレジャーボート等海難の現状

海上保安庁警備救難部航行安全課

 

はじめに

 

近年、生活水準の向上・労働時間の短縮等に伴い、国民の余暇活動への関心が高まり海洋レジャーがライフスタイルの一部として確実に国民に定着しています。

なかでもプレジャーボートの活動については、従来からのモーターボート、ヨット、水上オートバイなどに加え、低廉な小型のフィッシングボートやゴムボート等の出現により、ボートの保有隻数が増加傾向にあります。

これに伴いプレジャーボート等の海難も年々増加傾向にあり、平成九年においてはプレジャーボートの要救助船舶隻数が、用途別で漁船を抜いて初めて順位がトップになり、かつ、その隻数も過去最多を記録しました。

また、平成十年においても引き続きプレジャーボート等の海難は用途別での順位がトップとなり、その隻数も過去最多を更新しています。

平成十一年五月二十日には、船舶職員法の一部改正が施行され「五級小型船舶操縦士免許」が創設されたことから、小型船舶操縦士免許受有者がますます増加することが予想され、また、現在プレジャーボートの健全な発展・普及の妨げとなっている「放置艇問題」についても、関係省庁における施策の進展によって、プレジャーボートを楽しむ環境が次第に整備されることとなりますので、プレジャーボートの海難はこれからも一層増加することが予想されます。

 

平成十年における海難の発生状況

 

一、海難全体の発生状況

【第1図参照】

 

平成十年の要救助船舶(救助を必要とする海難に遭遇した船舶)の隻数は一、七二六隻で、昭和二十八年以降最少であった前年に比べ四八隻増加しました。これは前年に比べ、プレジャーボート等の海難の増加および減少傾向にあった漁船の海難がともに増加したためです。

しかし、過去十年間の傾向でみてみると平成三年をピークに平成四年以降は振幅を示しながら漸減傾向となっています。

一方、海難に伴う死亡・行方不明者数は一五七人で、前年に比べ一三人減少し、昭和二十八年以降で過去最少となりました。

これは前年に比べ、漁船海難での死亡・行方不明者数が大幅に減少したためです。

 

図1 海難全体の発生状況

003-1.gif

 

二、船舶の用途別海難発生状況

第2図参照

船舶用途別では、平成十年は前年に比ベプレジャーボート等が五九隻増加、漁船が二六隻増加しましたが、その他の貨物船、タンカ−および旅客船は前年に比べ減少し、統計を取りはじめて以来過去最少の隻数となりました。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION